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    yahiro_69

    だらだららくがきおきば @yahiro_69

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    魈生誕祭!の鍾魈なのに主に喋っているのは旅人とパイモンです。なんでだろう

    ##原神
    #鍾魈
    Zhongxiao

    「鍾離先生、この後帰離原の方まで行くけどついでにいつもの薬届けてこようか?」

    頼んでいた清心の束を受け取って鍾離はひとつ瞬いた。
    旅人たちには時折、荻花洲にある旅館まで使いを頼む時がある。
    かの旅館に住まう少年仙人へ、凡人には作り得ない薬を届けてもらっているのだ。
    そういえば前に頼んだのはいつだったかとカレンダーを見て気がついた。

    「そうだな……少し待ってもらえるか? 一緒に手紙を書いておこうと思ってな」
    「いいけど珍しいね。ちょっとの用なら伝言するけど」

    旅人とパイモンが揃って首を傾げるのが面白くて、ふふと笑みながらカレンダーを指す。

    「いや何、今日はあの子の生誕の日だったということを思い出してな。祝いの言葉でも添えておこうかと」
    「えぇっ魈の誕生日なのか!? うーん、それならオイラたちもプレゼントを持っていくか?」
    「というか鍾離先生が直接持っていくほうが良いんじゃないかなあ。いつも先生のこと気にしてるし」

    今度は揃って別の方向に首を傾げている。
    本当にこの異邦人たちは見ていて飽きないものだと鍾離は機嫌よく筆と便箋を手元に寄せた。

    「いや、あの子はあれでいてお前たちのことも相当に気に入っているんだ、顔を見せてやってくれ」
    「本当か!? なあなあ旅人、早く行こうぜ! 杏仁豆腐も持っていこうな!!」

    気に入っているとの言葉に喜んで飛び回るパイモンを、旅人が苦笑しながらも鍾離の手紙を待とうと宥めている。
    微笑ましく思いながらも便箋につらつらと文字を認(したた)めていく。
    パイモンがようやく大人しくなった頃、薬の包と封筒を旅人に手渡した。

    「では頼んだ。魈にもよろしく言っておいてくれ」

    手を振りながら歩いていく旅人たちを見送り、旅館のある方へ目をやる。
    久しぶりに、彼に会いたくなった。

    +++

    「魈~~~~~~!! お誕生日おめdわっぷ!!」
    「喚くな騒々しい」

    旅館に着いて早々に魈の姿を認め、全速力で飛んでいって鷲掴みにされているパイモンを見て旅人がため息交じりに頬を掻く。
    言動はいつものように多少の棘があるが、表情は初めて会ったときと比べて随分と柔らかくなったように思う。
    鍾離の言う通り旅人たちに気を許してくれているのだろうと思うと、胸の内が暖かくなる心地がした。

    「あははごめんね、パイモンも魈をお祝いしたかったんだ。これお祝いの杏仁豆腐、二人で作ったんだよ」
    「おう! オイラも手伝ったんだぞ!」

    誇らしげに胸を張るパイモンに「そうか」と一言。
    旅人が、魈の声色や些細な表情の変化からなんとなく機嫌が分かるようになったのはつい最近のことだ。
    今のそうかは少し期待が混じっている気がする。
    後でゆっくり食べてもらおうと杏仁豆腐を卓に乗せ、預かりものを渡してしまうことにした。

    「それからいつものお薬と、こっちは鍾離先生からのお手紙を預かってきてるよ」
    「手紙……?」

    魈が珍しく不思議そうな顔をして受け取り、封を開ける。ふわりと甘い香りが漂った。
    封筒には手紙とは別に小さな包みが入っていたらしい。

    「文香か」

    目を細めて包みをつまみ上げる魈の表情は、柔らかく微笑んでいるようにも見えた。
    興味深そうにパイモンが寄っていき、ふんふんと鼻を鳴らす。

    「あっ分かった、これ鍾離の香りだ!」
    「あぁ、先生がよく付けてる霓裳花の香膏だね」

    ぱちんと手を叩いて得意げに浮かんでいるパイモンの言葉に頷いた。
    それで手紙にはなんと書いてあったのか、と訪ねようとして魈の方へ視線を戻すと。
    なかなか珍しい顔をしていたものだからパイモンと顔を見合わせてしまった。

    「魈、お前そんな顔も むぐっ!?」
    「じゃあそろそろ行くね、次の任務もあるし。またね!」

    急いでパイモンの口を塞ぎ、小走りに旅館を後にした。
    なんだか自分たちが見ていてはいけないような気がしてしまい、逃げるように走ってしまったけれど。

    「よく考えたら自分の香りを贈るって、なんだか相当……」
    「いやあ、すごーくあれを気に入ってるだけかもしれないぞ……でも魈のあれ、どう見たって」
    「うん」
    「「……"恋する乙女"、だよねえ(なあ)」」

    +++

    誕生日おめでとう。
    その香の薄れる頃、同じ香りを移しに行く。
    俺だと思って持っていてほしい。
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