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    suna

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    suna

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    2023/07/16~17開催のディミレトWebオンリー『蒼月の銀灰花~SummerHoneymoon~』の展示小説です。
    恋をすることはないと思っていたベレト先生が、初めての恋を知る話です。

    赤い実はじけた「結婚を申し込まれた」
    少しは驚かれるかという予想に反して、セテスはそうかと頷いただけだった。ベレトの補佐を務めるうちに多少のことでは動じなくなったのかもしれない。頼もしい限りである。
    「…うん?だが国王陛下からの書簡は三日前に届いたばかりでは?」
    「なんでディミトリが出てくるんだ?」
    疑問を素直に口にしてベレトが首を傾げると、とたんにセテスの顔つきが厳しいものに変わった。眉間の皺がいつもよりも一本多い。取れなくなるぞと指摘してしまうと、誰のせいだと責められるのが分かっているので見て見ぬふりをする。
    「…いったい誰に、求婚されたのかね」
    常よりも低い声に問われてガルグ=マクにほど近い領土を治める若き侯爵の名を告げれば、眉間の皺がさらに一本追加された。
    セテスの表情の理由は分からないでもない。
    件の侯爵家は前々代のファーガス国王──つまりディミトリの祖父の時代にファーガス神聖王国と領土を巡って激しい戦いを繰り広げた過去があり、そのせいかフォドラが統一された今となっても表向きは王国に従属しているものの、関係が良好であるとは言い難い。
    しかし、彼らはセイロス教会にとっては強力な支援者のひとりだ。礼拝にあしげく通い、寄付も欠かさない。
    「君は、彼をどう思っているんだ?」
    「個人的に話す機会も多いが、良い人だと思う。彼も園芸が趣味なんだそうだ。話していて楽しいし、たまにいる他の貴族みたいにむやみに俺の身体に触れようなんてしない。敬意を持ちつつ親しく接してくれているのが分かる」
    「その不届な貴族の名前は後ほど聞くとしよう。ツィリルにも必ず伝えておき給え」
    「えぇ……?」
    父を亡くしてから、セテスの過保護が自分にも向けられるようになった気がする。次のフレンとのお茶会では『過保護な保護者について』という話題を振ってみよう。きっと大いに盛り上がるだろう。
    「私が聞きたいのは、君は彼に恋愛感情を持っているのかと言うことだ。…それとも君には他に、恋する相手がいるのではないか?」
    「同じことを彼にも聞かれたな。俺にはそういう相手はいないし、これからも俺が恋をすることはないのだと思う」
    そう答えると、またさらにセテスの眉間に新たな渓谷が刻まれた。果たして無事に平らに戻るのだろうかと心配になってしまう。
    「…とにかく、どのように返事をするのか、よくよく考え給え。このさい大司教という立場は一旦おいて構わない。いいか、君自身の気持ちをよくよく考えるのだぞ。答えが出たらまずは私に知らせてくれ。くれぐれも勝手に返事をしないように」
    鬼気迫るセテスの表情におされて、ベレトは素直にこっくりと頷いたのだった。


    ───猊下には、恋焦がれるお方がいらっしゃいますか?
    侯爵にそう尋ねられたとき、『恋』という凡そ自分とは縁遠い言葉にベレトは瞳を瞬いた。
    ベレトが知る恋とは、教師時代にヒルダに「私のオススメです!」と半ばに押し付けられて読んだ物語の中のものである。
    女性に高い人気を誇るというその物語では、ある崇高な騎士が君主の婚約者であった姫君と恋に落ちてしまい、苦悩した末に使命も国も捨て互いに身一つで手に手を取り合って生きようとする様が描かれていた。
    ベレトには、騎士のような生き方はできない。たしかに女神の力を以てしても未来のことは分かりえないが、それでも断言できるのだ。
    自分が己の信念を捨ててまで誰かと共に生きたいと願うことなど、決してないということを。
    ───だから、ベレトは恋をしない。これまでも、これからも。
    静かで、穏やかな夜だった。女神の塔から見下ろす修道院の風景は暗闇の中にあっても、そこに暮らす人々の温もりが感じられた。
    ベレトは己の掌に目をやる。暗がりでも鈍く輝く美しい白銀の指輪。もし結婚の申し出を受けるのであれば、父の言葉に従ってこの指輪は侯爵に渡すべきなのだろう。
    指輪に嵌め込まれた貴石をそっと撫でる。黎明の色をしたその石を見るとき、いつも思い出される記憶がある。あれはディミトリが、青獅子の生徒たちが王都へと帰還する前の晩だった。
    あの夜も今と同じように女神の塔に昇って、心地よい夜風に吹かれていて。
    でも、あのときは隣にディミトリがいた。
    送別会と称した宴会をこっそり抜け出してきたことをお互いに笑い合って、それからいろいろな話をした。出会った頃の話、料理に失敗した話、旅行をしてみたい国、これからのフォドラについて。
    ふと、会話が途切れたのを見計らうように冷たい夜風が二人の間を吹き抜けた。季節外れの冷えた空気が、ディミトリとの会話でベレトの胸の裡に灯った温度まで奪っていく。
    「……もう明日からは、お前はここには居ないんだな」
    ぽつりと溢した言葉は、思いのほか心細い音をしていた。
    『寂しい』。教え子たちとの別れの日が近づくにつれあんなに好きだったはずの釣りも園芸も手に付かなくなるベレトの様子を見て、フレンがこの感情の名前を教えてくれた。
    俯いてしまったベレトに、ディミトリが向き直る気配がする。
    「……先生、俺は精一杯努力する。人々が穏やかに暮らせる国を作れるよう、王として務めを果たしてみせる」
    だから、とディミトリがベレトの手を取る。グロンダーズ平原でのあの雨の夜以来、二人で過ごす何気ないひと時に、こうしてそっと手を握られることがあった。絡めあった指先から、ベレトの胸の中に温かいものが流れ込んでくる。
    「少しだけ、待っていてくれ」
    真剣にベレトを見つめるディミトリの瞳が、ほんの少し赤みがかっていた。話し込んでいるうちに日が昇る時分になったのだろう。美しい蒼に朝日が映り込む。黎明の色だ。
    あぁ、夜が明けるのだ。長く昏い夜が明ける。この子はこれから、新しい時代を王として導いていく。
    ディミトリに会えなくなることは、寂しい。けれど、王として生きるその姿を見ていて欲しいと願ってくれたことが、とても嬉しい。
    だってそれは、ベレトの信念そのものだからだ。
    己の信念のために生きるディミトリを支え、見守っていく。ベレトの生きる意味であり、目的でもある。セイロス教の大司教になることを決めたのだって、そのためなのだから。
    繋がれた手から伝わる緊張を和らげてやりたくて、もう片方の手で微かに強張るディミトリの拳をそっと包み込む。
    「大丈夫。お前はきっと素晴らしい王になる。……待っているよ」
    ベレトの答えにディミトリは、ふにゃりと子供のように嬉しそうに笑った。王としてではない、年相応の青年の笑みだった。
    この子がこんな風に笑えるためなら何でもできると。あのときベレトは、そう思ったのだ。
    ───猊下にとっては、たとえ政略結婚でも構いません。
    侯爵の言葉がよみがえる。貴方と生きられるのであれば私は幸せなのです、と彼は言った。そして。
    ───もし、私の伴侶となってくださるのでしたら、王国との関係を修復しましょう。貴方にとって大切な方々は、私にとっても大切な人になるのですから。
    かの侯爵家は、その当主の人柄から領民の信頼も厚く領地は豊かであり、フォドラでも指折りの名家だ。
    そんな彼が王国に、ディミトリに助力してくれるというのであれば、まだまだ安定したとは言い難いこの国の情勢の中でディミトリの大きな後ろ盾となってくれる。
    侯爵は、誠実で優しい人だ。彼とであれば、ベレトもきっと穏やかで幸せな日々が過ごせる。───たとえ生涯、恋を知らずとも。


    ◇  ◇  ◇


    「結婚の申し込みを、受けることにした」
    セテスの眉間はいまやフォドラの喉元よりも険しく、刻まれた皺の数はベレトの記憶する限り過去最高を記録した。
    よくよく考えたのかと問われたので、よくよく考えたと答える。あまりに真剣に考えていたから、ここ二日間ほど朝の礼拝で聖句を読み飛ばしたのだ。実はまだうろ覚えだからなどではない。断じてない。
    ベレトの決意の固さを見てとったセテスは、額に手を当てて大きなため息を吐いた。
    「念のため聞くが、まだ侯爵に返事はしていないだろうな?……よし。君の気持ちは分かった。だが、少し待ち給え。君から話を聞いてすぐに王国へ伝書フクロウを飛ばしておいたのだ。おそらくそろそろ何かしら返事がくるはずで、」
    「王国って…、これは俺の、教会の問題だろう。なんでディミトリに知らせる必要があるんだ?あの子は忙しいのだから、余計な心配をかけるようなことはしないでくれ」
    心配性なディミトリのことだから、政務の合間をぬって手紙を寄越すかもしれない。それならば何も心配は要らないと急ぎ返事をしてやらねば。
    ベレトが思案していると、執務室の扉の向こうから慌ただしい複数の足音が聞こえてきた。
    その中に慣れ親しんだ気配を見つけて、まさかと思う。だって、次に会えるのは角弓の節に催す収穫祭であるはずだ。ベレトは何度も暦を見ては、指折り数えていたのだから。
    「失礼する」
    いつものように礼儀正しく入室の許可を待つことなく、勢いよく扉を開け放ち入室してきたのは、やはりファーガス神聖王国国王、ディミトリ=アレクサンドル=ブレーダッドその人だった。
    「大司教猊下並びに補佐役殿、此度の突然の訪問誠にご無礼仕る。なにとぞご容赦願いたい」
    「顔を上げられよ、国王陛下。こちらこそ迅速な対応感謝する。とはいえ、まさか貴方が直接おいでになるとは思わなかったが…」
    セテスの言葉に従い、礼の姿勢を解いたディミトリと顔を見て、ベレトは安堵した。
    血色は悪くなく、目の下に隈を拵えている様子もない。多忙であることには違いないだろうが、それでも身体を損なわない程度に寝食はきちんと取っているようだ。ディミトリが健やかであることは、ベレトにとって何よりも喜ばしい。
    「猊下…いや、先生。侯爵に求婚されたというのは本当か?前向きに検討しているということも?」
    まずは久しぶりに会えた挨拶をしようとしていたのに、いきなり詰問するような口調でディミトリに詰め寄られて肩が跳ねた。ひとつきりの鮮やかな蒼がベレトを射抜いている。
    「え…うん、本当だ」
    「……お前は、あの約束を忘れてしまったのか?俺を待っていると言ってくれたのに…!」
    なぜ今、ディミトリはあの別れの夜の話をするのだろうか。ベレトには皆目分からない。それでも、忘れてしまったと誤解されるのは心外だった。
    あのときディミトリから貰った熱は、今もベレトの胸に温かく灯っている。ベレトにとって大切な約束だった。
    「忘れるわけがないだろう。お前が、お前の意思をもとに立派に王の務めを果たしたと、そう誇れるときが来るのを俺はいつまでも待っているよ」
    そうしてそのときには、どうかディミトリに自分自身を赦してやって欲しい。国と民だけでなく、ディミトリ自身が幸せになることを考えて欲しいと、ベレトは心からそう願っているのだ。
    「……………」
    俯いて黙りこくってしまったディミトリの肩越しに側近であるドゥドゥーだけでなく、シルヴァンやフェリクスまで控えているのが見える。皆一様に気遣わしげな表情をしていた。
    おそらく教え子たちは、長年王国と敵対していた侯爵家と婚姻するかもしれないというベレトを心配してわざわざ駆けつけてくれたのだろう。申し訳なく思いながらも、彼らの心遣いが嬉しかった。
    ディミトリの表情を隠す美しい金色の髪をそっと指でかき分けて、五年前よりも精悍になった頬にベレトはそっと掌をあてる。
    「心配しなくていいぞ。彼は善良な人だし、それに俺と結婚したら王国にも協力すると言ってくれたんだ」
    「……王国のために、お前が政略結婚をすると?」
    少しでも安心して欲しかったのに、返ってきたディミトリの声音はさらに固く強張っていた。
    「いや、そんな深刻な話ではないんだ。セテスにも侯爵にも言ったが、俺はきっとこの先も恋をするということはないから」
    恋をするというのは、きっと素晴らしいことなのだろう。経験したことはなくとも、それはベレトにも分かっている。
    けれど自分にはそれよりも──何よりも大切な、譲れないものがあるから。
    「だから、どうせならお前の役に立てればいいなって。幸い侯爵も了承してくれている。俺にとっては政略的な婚姻でも構わないと。今までも良い友人であったし俺の立場や務めにも理解があるし、彼となら上手くやっていけるんじゃないかって思うんだ」
    どうか自分の気持ちが伝わってほしいと、ベレトは覗き込むようにしてディミトリと目を合わせる。
    彼の瞳は、ベレトの言葉に一瞬揺らいだように見えた。けれど、長く密に生え揃った金色の睫毛と血管が透けるほど薄く白い瞼に一瞬隠れて、そのあと再び現れた蒼色は、いつものように揺るぎなく真っ直ぐにベレトを見つめ返した。
    吸い込まれそうなその瞳に、綺麗だなと、出会った頃からもう幾度となく繰り返した言葉を心中で呟く。
    ディミトリがどれだけ自身を醜いと卑下しようとも、いつだってベレトにとってディミトリは、誰よりも美しいひとだった。
    ベレトから目を逸らさないまま、ディミトリが己の頬に添えられていたベレトの手を握る。
    「……王の務めを果たしたと、お前と皆とに顔向け出来るようになるまではと思っていた。けれど、そんな悠長なことを言っている場合では無かったようだな」
    漏らした言葉はベレトに聞かせるためのものではなかったのだろう。上手く聞き取れずにベレトがうん?と聞き返しても、ディミトリは薄く笑みを浮かべるだけだった。
    「良い機会だ。お前にも、お前の感情をしっかりと自覚してもらわねば」
    突然、握った手を力強く引かれる。その強さに顔を顰めるよりも、互いの吐息が感じられそうなほどに近づいた距離にベレトは大いに狼狽した。
    「お前は先ほど、自分が恋をしていないといったが……お前は、恋をしているよ」
    ディミトリが話す聞き慣れたはずの言語がまるで初めて聞く異国の言葉であるかのように聞こえて、理解するのに数秒を要した。
    ───誰が、何をしているって?
    「そして、俺も恋をしている」
    秘密を明かすように囁かれて、今度こそベレトの思考回路は完全に閉鎖された。意図的に閉鎖したのかもしれない。ディミトリが、恋を?
    何も考えられない。考えたくない。なぜ?
    なんということだ、これでも戦時中は王国軍の軍師としてあらゆる情報を瞬時に分析し、決断を下していたはずなのに。
    混乱するベレトの手を取ったまま、恭しくかつ優雅な所作でディミトリがベレトに跪く。
    フォドラを統べる王たる者が何をしているんだと叱りつけてやりたいのに、ベレトの唇はわななくばかりでちっとも動いてくれない。
    満足げな笑みを浮かべてベレトを見上げ、ディミトリは声高らかに宣言する。
    「先生、ここにいる皆もよく聞いてくれ。俺は、お前のことが───」


    ◇  ◇  ◇


    「結婚は、お断りさせていただきたい」
    大変申し訳ないが、と前置いて告げた言葉と共にベレトは深々と頭を下げた。
    侯爵は黙ったままである。無理からぬことだ。自覚が無かったとはいえ、結果的に彼の気持ちを弄ぶようなことをしてしまった。たとえ罵倒されようとも受け入れる覚悟はできている。
    「……謝らないでください、猊下。私の方こそ、貴方に謝らなくてはならないのです」
    降ってきたのは罵声ではなく、いつものとおり理知的で穏やかな声だった。促されて、ベレトは彼に向き直る。
    「私は知っていました。貴方が、恋をしていることを。知っていながら貴方に結婚を申し込んだ。貴方の無垢さに、つけこんだのです」
    「……知って、いたのですか?」
    確かに侯爵とは、ベレトの教師時代の話もした。会ったこともないだろう教え子たちの話を、彼はいつも熱心に聞いてくれたものだ。
    けれど、そもそもついこの間までベレト自身でさえ己の抱える恋情に気づいていなかったのに、いったいどうして。
    ベレトの疑問を、向けられた視線から読み取ったのだろう。侯爵は優しく、そして切なげに微笑んだ。
    「すぐに分かりましたよ。──陛下の話をするときの貴方が、いちばん綺麗でしたから」


    侯爵家の門扉を出たところで、ベレトは待ち構えていた男の逞しい腕に捕えられた。
    「無事か?何もされなかったか?」
    「当たり前だ。善良な人だと言っただろう」
    本当に善良な人だ。ベレトは彼との結婚を断ったのに、彼は王国との関係修復を前向きに検討すると言ってくれた。
    救国王と名高い名君であれば、協力するのが我が領民の為にもなりましょう、と。
    ……彼の言うところの名君は、ベレトが侯爵と話すのに同席するといって聞かず、宥めすかすのにベレトは散々苦労したのだが。
    そうか、と安心したように呟いたディミトリがベレトの左手を取る。いつの間に取り出したのやら、大粒の橄欖石を頂く美しい銀細工の指輪をベレトの環指に通そうとするものだから思わず声を上げると、ディミトリは不服そうな視線を寄越した。
    おおかた、数日前に己の恋心を告げそしてベレトの恋心も暴いてベレトの指に指輪を嵌めようとしたときに、侯爵との件にけじめを付けてからでないと駄目だと拒んだことを根に持っているのだろう。
    確かにけじめはつけてきた。とはいえ、いくら何でも早急過ぎないかと言ってやりたいのだが、実はベレトも懐に両親の形見の指輪を忍ばせているので何も言えない。
    結局、己の指に収まってしまった指輪を見つめる。何なのだろう、この感情は。ふわふわとしてくすぐったい。自分には縁のないものだと、そう思っていたのに。
    いつの間にか腰に回された腕に引き寄せられて、ベレトの視界はディミトリでいっぱいになった。
    空を溶かし込んだような瞳が、形のよい唇が、すぐ目の前にある。普段は動いているのかも怪しい心臓がうるさいほどに音を立てる。
    「……ベレト」
    ぜんぶ、ぜんぶ初めてだ。こんなに甘いこえで名前を呼ばれるのも、自分以外の誰かの匂いに包まれるのも、燃えてしまうのではと思うくらい頬が熱くなるのも。
    嫌では、ない。嫌ではないが、落ち着かない。でも、離れてほしいわけでもない。──もう訳がわからない!
    処理不能に陥ったベレトにとどめをさすように、好きだと囁いた唇が降ってくる。
    思わず瞳を閉じたベレトが感じたのは、初めて知る、恋の味だった。


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