ターバン○○○
しゃらりと金属がふれあう軽やかな音がする。楽師が奏でる音楽は不要だ。ここに必要なのは目の前で華麗に舞う踊り子と、それを見る俺だけ。
赤い絹の向こうに透けて見える褐色の肌から汗がひとしずく垂れた。上質の絹は音も立てずに柔らかな隆起を描いてふわりとはためく。
喉の奥から愉悦が漏れでてしまうのは仕方がないことだ。ずっと、これが見たかった。
「ははっ、いいぞ。もっとだ。もっと踊れ。この俺を喜ばせてみろ」
たん、と床を踏み鳴らす音を合図に踊り子の動きが激しくなる。
最高にいい気分だ。
月も星も今宵は美しい踊り子のために輝いている。そしてこの踊りは俺だけのために捧げられるのだ。
まるで王様にでもなった気分だ。
1974