ともに溶けた花びら2つ◆◆クラージィ◆◆
約二百年の眠りから目覚めた時、世界はガラリと姿を変えていた。
文明や文化の進化や進歩はそうだが、なにより吸血鬼と人間の関係性が異なった。
隣人と在るのを良しとし、言葉を交わし、時には手を取り合っている。
吸血鬼となれば即座に胸に杭を打つのが当然だった二百年前とはあまりにも違い、衝撃を受け、感動した。
こんな世界を見せてくれたノースディンには、命を救ってくれたのも含め、返しきれぬほどの恩がある。
そんなノースディンがここ一ヶ月ぐらい、しつこい風邪をひいていると知れば、心配の一つや二つするというもの。
その心配は私にできる事ならという行動にうつり、スマートフォンという便利な道具を使って得た知識をもち、ノースディンの風邪へと挑んでいた。
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