湖の孤城 2その日の夜。Broooockから貰った紙を片手に、周囲を確認しながら歩いた。日も暮れて街が暗闇に包まれ始めた頃、小さな看板がひっそりとこれも小さい扉の横に立っているのを見つけた。
文字が最低限見えるようにするためだけの唯一の灯りも目立つことなく、ぼんやりと周囲を少しだけ照らしている。
ここか、と扉を押し開けた。古ぼけた見た目とは裏腹に軽く開いた扉の向こうは存外明るかった。
カランカラン、とベルが鳴る。
「おう、いらっしゃい」
「ご無沙汰。もう誰か来てる?」
「いや、まだ。1番奥どーぞ」
あの時よりも隈が少し減った気がするシャークんに案内され、店全体を見渡せる席に着く。店は全体的にシンプルで、あちらこちらに置いてある小さな観葉植物と小さい絵がアクセントになっていた。そこらの雑貨店で見るような小物ばかりで置く位置にはこだわったんだろうなという感じがする。
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