盲目の父の言葉を頼りに険しい山道を辿ってみれば、果たしてそこには聞いた通りの古めかしい巨大な館が聳えていた。
「……ほう、これが件の野獣とやらの」
わずかに連れてきた供をさっさと追い返し、ドゥリーヨダナはひとり閉ざされた門扉の前に立った。
「我が名はドゥリーヨダナ! 先般こちらで世話を受けた父、ドゥリタラーシュトラの名代として参上仕った。館の主人に目通り願うものである。疾く門を開けられよ」
声を張った直後、がちりと錆びついた金属が擦れ合う音がした。首を捻りながら歩み寄り、分厚く重たげな門扉に手をかけると、ぐう、と内に向かって滑っていく。
「……ええい、もっと分かりやすく開けんかい」
鋭く舌打ちし、体当たりの勢いで押し上げた隙間からずかずかと踏み入れば、いくらもしないうちに背後でまたがちり、と今度は施錠の音がどこか無慈悲に響いた。
4516