つかめ確信の恋、甘い日々 夢のようだと思っていたら、本当に夢そのもののように目が覚めて、幸福は終わってしまった。貰えたと信じた想いごと、すべてが幻だったなんてと、酷い現実に泣き濡れて。そんな夢を見て目が覚めた――朝。
「…………ゆめ……夢か……?」
無意識に発した己の声を耳にして、南泉一文字の意識はようやく覚醒をつかんだ。それでもまだぼんやりとしたまま隣を見て、先ほどから感じていた温もりの正体を確認する。南泉の腕に触れながら、すぅすぅと今は、寝息を立てるばかりの存在。――山姥切長義。
(……まだちょっと、信じらんねぇ)
彼は南泉が、長い長い間片恋を捧げてきた相手だった。惹かれて傍に寄っては嫌味を言われ、格が違うと揶揄されて、その度に懲りて距離を置こうと思うのに、結局は諦めきれず縁を繋ぎ続けてきた、古馴染みの刀。
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