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    はるしか

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    はるしか

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    少し間が空いてしまいました…漫画の続きのほうも近々あげます。敦ちゃんが京のもとを訪れる少し前のお話、このウツロパロにおいては妹に対して慈悲のない兄がいますのでご注意下さい。

    拝み屋・京極堂の手記(一)手紙を受け取った。
    差出人を確認して、溜め息が漏れる。
    帰宅し、中身に目を通すが
    予想に違わぬ内容だった。
    最近身辺を嗅ぎ回っている主は
    此奴に違いない。


    「さて、どうしたものかね」

    断り、会わないという選択肢は無かろう。
    それで諦める性分なら十五年も追わない。
    全てを捨てて世間を欺き、隠れ生きていた事。
    私自身に対しての責めならば、
    幾らでも聞いてやる所存ではある。

    しかし、此れはそうではない。
    それが、問題なのだ。


    最初は、実家で紹介したとき
    初めて実家に連れてきた兄の友人に
    興味津々で付き纏っていた。
    元々好奇心が強い気質だったのもあり
    気にも留めなかった。

    しかし、二度めの夏祭り。
    誘ってもいなければ声を掛けてもいないのに
    似合わぬ大人柄の浴衣を着て、粧しこみ、
    来るなと言うのに強引について来たのだ。

    その目当てがなんであるか、
    待ち合わせに遅れて来た友人を
    見つけたときの顔が、如実に語っていた。


    兄の死を受け入れられず、事件を追っている。
    それは一般的な建前に過ぎない。

    本当に知りたい事実は、其処ではない。
    其れより、少し前にあった事件であろう。

    友人が突然消えた、あの日のこと。


    「ねぇ、関口君。
    あれは相当、君に逢いたいようだよ」

    膝にしなだれ掛かる、かつての友人に囁く。
    私しか映さぬ紅い眼が、怪訝そうに揺れる。
    手にあった手紙を、横に投げ置く。

    「十五年も…随分御執心じゃないか」

    絹糸のような艶やかな髪を、指で梳く。
    努めて優しい手つきで、そして
    努めて優しい表情をその顔に乗せる。


    「可哀想だから、逢わせてあげようか」


    そう、
    誰れのものに
    手を伸ばそうとしているか

    解らせてあげようか
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