その手で掴まえた未来「冨美ちゃん!久しぶりだねぇ」
「ご無沙汰してます、お元気そうで」
「お二人とも、久しぶりです。
お祝い、ありがとうございます」
寒川の退院の報せを聞きつけて、快気祝いの果物の詰め合わせを抱えて可児と寺尾が自宅に訪れた。
日光の一件のあと、寒川の病気を診てくれる大きな病院を探し出し、慌ただしく入院から手術の運びとなった。手術は成功したものの術後の経過観察やリハビリでひと月近く入院していたのだ、碌に薬局に帰れず、二人の顔をみるのは本当に久々な気がした。
「可児さん、寺尾さん
大変お世話をおかけしました」
壁をつたって、寒川が応接間に顔を出す。
直ぐに寄って行って、その手をとる。
「大きな手術だったっていうから、
すっかり窶れてやしないか心配だったけど、
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