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    Ma_o_kl

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    夏のちょっと不思議な小話風。小説ではなくプロットのようなものです:)
    呪いの子時間軸のハリーの話

    息子の起こしたタイムトラベル騒動でハリーがヴォルデモートに変身して以降、彼は時折不思議な夢を見るようになっていた。
    それは暗闇の中で光が瞬く夢だった。
    夢の中で小さく光るその光は、明けの明星の持つ輝きを思わせた。

    ハリーは騒動以降日常を取り戻しつつあった。そんな中、魔法省に住み着くゴーストが消え始めているという噂が省内でたっていた。
    ハリーはその噂を気にも止めずに自分の日常を過ごしていた。

    そんなある日、ハリーはハーマイオニーからある依頼を受けた。それはホグワーツの特別講師の依頼だった。
    クレイグ・バウカーJrの死の動揺が未だ残るホグワーツに赴き、生徒を励まし指導して欲しいという依頼だ。
    もちろん、ハリーはその依頼を快く承諾した。

    ハリーがホグワーツで特別講師を行い始めると、今度はホグワーツで新しい事件が起き始めた。
    それは城内の幽霊が日に日に姿を消すという事件だった。
    ハリーは特別講師の仕事に加えその事件の調査にも乗り出す事になった。

    その頃、ハリーの見る不思議な夢は日に日に不気味なものへと変化していた。
    暗闇の中で金星のように瞬く光は日毎に大きくなり、ハリーへと確実に近付いていた。しかしハリーがその輝きを追いかけても決してその光に辿り着く事はなく、光とハリーはアキレスと亀のような関係にあった。

    そしてその光の夢は馴染み深い嫌な感触を纏っていった。
    夢の中でハリーの皮膚は粟立ち、夏の夕方の空気に触れた後のような嫌な湿度が彼の全身を湿らせた。

    そしてその夢の感触をハリーは既に知っていた。それは、ハリーを長年苦しめ続けた悪夢の感触だった。
    そして多くの幽霊が消えていく中その現象はポルターガイストへと変化し、城内の生徒や周囲の建物へもその実害が現れるようになっていった。

    未知の怪奇現象が続く中でハリーは日に日に疲れ、知らぬうちに彼の目の下には濃いクマが出来上がっていた。その疲労は時折ハリーの記憶と意識を飛ばしてしまう程だった。
    そしていつものようにハリーが悪夢にうなされ、掴みどころのない怪奇現象に痺れを切らした頃。ついにハリーは悪夢の名を呼んだ。

    「ヴォルデモート、お前なんだろう? いい加減姿を表したらどうだ」

    するとハリーの耳の真後ろで、生え際の産毛を撫でるように懐かしい歯擦音が揺れ響いた。

    「もうずっといる。ここに」



    ハリーの肉体はヴォルデモートの魂の欠片をリンボから現世へと繋ぐ呼び水となっていた。
    ハリーの身の回りで起きていた幽霊失踪事件は、彼の体を介してヴォルデモートが引き起こしていたのだ。それは息子の事件がきっかけで呼び覚まされた絆が関係していた。

    ヴォルデモートの魂の欠片はリンボがもたらす永遠の苦痛から抜け出す方法を探していた。
    そしてハリーの体を介して彼は霞のような死霊の魂を啜り、力を蓄え、再び現世へと舞い戻る手段を探していた。
    そしてその力は今や、ポルターガイストとして現実世界に影響を及ぼすほどに強くなりつつあった。

    ハリーは再びヴォルデモートを止めなければならなかった。その使命を果たせるのはこの世に、ハリーの他にはいなかった。

    その為、ハリーはヴォルデモートと交渉する事にした。
    ハリーは肉体を貸し出し、リンボに散らかる魂を集める手段を共に探す事を条件に、現世と人々には手を出さないようにと彼に交渉を申し出た。

    交渉の最中、ハリーは最終的にヴォルデモートを完全に亡き者にしたいと思惑を巡らせ、ヴォルデモートもまた魂を集めたのち再び復活の機会を探るつもりだった。
    2人は互いに別の思惑を抱えながらも協力に同意し、この交渉を成立させた。

    そしてハリーはリンボと現世を繋ぐ媒体として、ヴォルデモートに再びその身を差し出す事となった。
    ヴォルデモートの脅威から魔法界を守る為、ハリーは死後の世界の探究を行う旅へと彼と旅立った。



    魔法界の英雄が忽然と姿を消してから数十年後、ジニーは女手1人で子供達を立派に育て上げていた。子供たちは立派な大人へと育ち、ジニーの顔には過ぎた歳月を感じさせる深い皺が刻まれていた。
    時折ハリーと思き人物からポッター家に荷物が届くが、ハリー本人は依然として行方不明のままだった。

    そして誰かの葬式だろうか。ジニーが葬儀に参列していると、立ち込める霧の中どこか見慣れたシルエットがジニーの目についた。

    そこには何十年も行方知らずだった彼女の夫が立っていた。しかし、その姿は彼が消えた時と変わらず、その容姿は少しも老けていなかった。
    さらに不可解な事に、彼の隣には見知らぬ人物が連れ立っていた。

    ハリーの隣には幼い少年が立ち並び、結ばれた2人の手を繋ぐように見覚えのあるタトゥーが見えた。
    青白い肌をしたその少年はジニーの視線に気付くと赤い瞳を輝かせ、ゾッとするような不気味な笑みを彼女へと向けた。

    するとジニーが瞬きをした次の瞬間、墓地に漂う霧の中へと2人の姿は隠れてしまった。
    ジニーが霧を掻き分け二人の立っていた場所へと歩みを進めるとそこにはもう誰もおらず、ただヒヤリと冷たい空気だけが残っていた。

    終わり
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