恋心を忘れる魔法薬を飲んで7年分の記憶を失うジェイドの話6 モストロラウンジが一週間で最も忙しい週末のディナータイム、普段は滅多に営業に入る事のないアズールが、この日ばかりは他のスタッフたちと共にキッチンを忙しなく動き回っていた。
「支配人!料理が遅いとお客様からクレームが…!」
「今手が離せません!ジェイドに対応を…」
「それがジェイドさんは他のクレーム対応に当たっていて抜けられなくて……、責任者を出せと言って聞かないんです…!」
よほどタチの悪いクレーマーなのか、おどおどとするばかりの一年生スタッフに任せておいては収拾がつきそうもない。
アズールは作りかけの料理を手早く完成させ、溜まったオーダー表と睨めっこをしてあちこちへ指示を飛ばしてからホールへと向かう。
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