恋心を忘れる魔法薬を飲んで7年分の記憶を失うジェイドの話 最終話 ハーツラビュルでの一悶着を終えてオクタヴィネルに戻り、アズールと別れてからジェイドはひとり悶々と考え続けていた。
結局、トレイと自分が一緒にいるのが嫌だとはどういう意味だったのか。
アズールが何も言わないからつい詰問するような口調になってしまったけれど、それにしてもあのアズールがあんな事を口走るなんて。
─だってお前がトレイさんと一緒にいるなんて言うから─
その時の事を思い出してジェイドはまたむぅっと眉を顰めた。
「だって」なんてそんな、まるで子供がだだをこねるような口調が既にいつものアズールらしくない。
そしてそれがトレイと一緒にいた事が原因だと言うのだから、ジェイドはますます意味がわからなかった。
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