「エルロンさんの名前ってさくらって意味なんだね」
そんなマスターの声がビーマの耳に聞こえてきたのは昼飯時の食堂でのことだった。エルロン、というあまり聞き馴染みのない名前にマスターの交友関係が気になったというのもあり、ビーマが厨房から顔を出せばカウンターで定食を受け取ろうとしているマスターがと目が合った。
「よう、マスター」
「ビーマ!お疲れ様」
「そっちのお連れさんは珍しい顔だな」
ゆるく波打つ髪に片目を隠し、カルデア職員の制服を着た女性が上目遣いで困ったようにこちらを見上げてくる。
「セレシェイラ・エルロンさんだよ、カルデアの記録担当なんだ」
マスターの言葉に続いてそのエルロンという女性はビーマへ向かって軽く頭を下げた。
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