昨日の午前中、とっても元気だったのに、不思議だなぁ。夕方からぐんぐん熱が上がって、夜には動けなくなった。ベッドの中で、じっと呼吸だけに意識を集中させて。
寒くて寒くてたまらない。暖房を強めても毛布をなんとかベッドに運んで重ねても、それでもまだ寒い。多分まだ熱が上がるんだろう。早く寝たいのに寝付けない。熱が高くてしんどすぎて、寝付けないの。
結局意識が飛んだのは明け方ごろだったと思う。白み始める空をカーテンの隙間からぼんやり見ながら、限界を迎えた。
意識が浮上して感じたのは、体の強烈な節々の痛み。瞼を無理やりこじ開けることが精一杯だった。寒さがやや治ったのはよかったのか。それとも、今が最高潮に熱が高いんだろうか。体が深海にいるような、ぎゅっと上から全身を押さえつけられているような、漠然とした苦しさがつらい。
また風邪を引いてしまったろうか。こんなに辛さが強いなら何かの流行り病だろうか。冬だしな。人の多いところにいつも居るから不思議なことではない。ちょっと不運で免疫がなかっただけだ。
授業はどうしようか。いや、出られるわけがないのだが。先生たちをまた怒らせてしまうな、それは少し面倒だ。
「toi……toi . toi 」
おまじないを唱えたら、棚の上のお人形が振り向いた。いや、振り向かせたのだ。あれは俺が操っている。
ふわりと髪を揺らしながら立ち上がって、棚から飛び降りて。パタパタと小さな足音をたて部屋を歩き回る。机の下に乱雑に放置されている薬を彼女に持ってきてもらうためにね。マリオネットさながら、ドールの小さな体を操るのには慣れている。この学院で長らく俺の理解者はこのお人形だけだったから。とても大事にしているのだ、喋らなければ否定もしない、嫌なこともしないこのお人形を。
「ありがとう……」
薬を受け取って、テーブルの上に放置してあるペットボトルに手を伸ばす。ミネラルウォーターだ。ちょうどいい。
なんとかあげられる範囲まで頭をあげ、薬を流し込む。解熱鎮痛剤の類。少し前微熱だった時の残り。捨ててしまったり飲み切らずにその辺に放置しておいて良かった。
頭を枕に預ける。動かしてみてわかったけれど、頭痛もひどい。ああなんで、こんなに体調が悪いのか。心当たりなんてないんだけどな。最近はものすごく忙しい、わけでもなかったから。
お人形を抱えて、布団に潜り込むことにした。薬も飲んだし、しばらくしたら効くはずだ。効かないと困る。効いてほしい。体を丸めて、お人形をぎゅうっと強く抱いて、自分の殻に閉じこもる。ここまでしないと、安心できない。俺と同じ青い髪の毛の、関節が動く作りのお人形。それを腕の中に閉じ込めるようにして抱きしめる。ずっと1人だったから、こうして耐えるしかないってもうわかってる。
ねつがたかくてしんどい。からだがいたい、あたまも。のどだってなんだかつまってくるしいし、おなかもむかむかする。
けど、誰か助けて、って言えなかった。誰か、が思いつかなかった。俺の周りにいる人は、あえてここにこないのなら、連絡をよこさないなら、構ってる暇がないってことだ。それは俺だって同じ。時間がない時はパタリと途絶えるけど、理解してもらっているし、理解している。そういう関係のはずだ。だから、"あえて"呼びでもしない限りはここには誰もこない。や、おせっかい焼きの先生は来るかもしれないけれど。それだけよ。
「ふ、ぅ……うえぇ……」
涙が出ても、磁器の体が拭っても無駄で。だからそのまま滴って、シーツに落ちて吸収されるだけだ。
泣き続けて涙も枯れた頃には、少しだけ頭の痛さもマシになった。少しだけ。
起き上がれるほど良くはなっていないし依然としてしんどくて仕方がない。ただ部屋のどこかを見つめるしかできない。それがやっぱり情けなくて、不服でたまらない。
お人形は変わらずに俺の腕の中。そりゃそうだ、俺が魔力を込めなければ動かないし。
今何時なんだろうな。まだ午前だと思っているけれど、案外もう昼間かもしれないし。いずれにせよ授業はもう始まっているはずだ。
あの2人は、ちゃんと授業に出席しているのかな。いや違うな。ヘルメスはきっとちゃんと毎日一応教室にはいるはずだ。ディーディリヒさんは、そもそもここにいるのかすらわからない。昨日の夕方からスマホを見る気になんてなれなくって、本当にわからない。
今のうちに、ペットボトルのお水とかくらいはなんとか近くに寄せておこう。そう思って立ち上がったものの、くらっと目の前が沈みだす。あ、まずい。なんて思った時にはもう、その場に座り込んでいた。力が入らない、というか。貧血か、低血圧か何か。だめだこれ、気持ち悪い。
ゆっくりと、ただし確実に重力に負けながら、床に伏せてしまった。これではただベッドから落ちただけだ。でも起き上がることなんてできない。まずったな、まだ早かったみたいだ。どしようか、どうしようもないけれど。
硬い床は冷たくて、痛くて、少しだけ心地よい。なんだか眠れてしまいそうだ。ここで寝たら悪化するってわかってるけど、わかっているけど。もういいか、別に。
「げほ、けほ、」
毛布をずるずるひっぱって、なんとか一枚くるまることができた。
「げほっ、……げほ、かふ」
そうだ、どうせ明日明後日も休めばクラックト先生が尋ねてくるはずだ。あの先生はとってもおせっかい焼きだから、ちょっと差し入れくらいしてくれるはずだ。それまで待てばいい。それまで耐えられれば。
コンコンコンコン。
少し遠くに聞こえるノックの音。あれ、隣の部屋だろうか? いや、隣の子は割と真面目そうな子。ちゃんと出席しているはず。じゃあこの部屋に? なんでだろう。幻聴かな? 今何時かはわからないけど、誰か来るには不自然な時間だ。窓の外は明るい、電気のついていないこの部屋だって暗くないのだから昼間だ、きっと。ならばちょっと聞き間違えたかな、きっと、そうだ。
そういえば、このカーペットなら電気をつけたら暖かい。コンセント、届くかな。
あれ、扉が開いた。
「ティボルト君……?、……いないか」
ディーディリヒさんの声がする。毛布に閉じ籠ったから見えてはいないけれど。
「いますぅ」
「うお!? えっどこ!?」
「ここぅ」
なんとか手を這い出して、お手振りで主張。そしたら気付いたみたいで、焦ったような声色で近づいてきた。
「な、なんで床にいるの。もしかして落ちちゃった? 」
机がどかされてゆく。ベッドど机の間が少し広まった。人2人分くらい。
「……体調わるい?」
「かぜ、ひいたの。たてません、抱っこして」
「あぁ……、そっか。よい、しょ、」
しゃがみ込んだかと思えば、ふわりとした浮遊感。軽々持ち上げられてしまった。
ディーディリヒさんの腕も体も、冷たくて心地よい。普段と逆だ。普段は暖かく感じるのに、今日は違う。熱が高いせい? それとも、あなたは外にいたのかな。
「ベッドに降ろすね」
「い、いや。嫌です、抱っこしてて欲しい」
「寝てた方が体つらくないんじゃない?」
「抱っこがいいんです」
駄々を捏ねて、子供みたいだ。ディーディリヒさんは少し悩んで、俺をベッドに降ろした。そして、自分も隣に寝そべる。抱っこというか添い寝だけど。
咳が止まらなくてずぅっとげほげほしているし、うつしてしまったら嫌だな。それに、鼻も詰まってて、あなたの匂いがわからない。
「辛いね、……ヘルメス君に連絡してもいい?」
「いいですよぅ。でもお部屋出たらダメ、ここにいてください」
優しく、優しく頭を撫でられた。それから手の甲で少し額の温度を確認して。あなたの手はいつも温かいけれど、今日に限っては俺のおでこが熱いはず。だって冷たいもん。
熱高そうだね、とか、何か食べたかとか、そういうことをやっぱり優しい声で聞かれるけれど、うんとか、ううんとか、そういう言葉でしか返せない。
「水はどれくらい飲めた?」
「ふたくち……」
「水飲む? 起き上がれないか」
「だっこ」
だから抱っこをしてと言っているの。わかってないんだから。
「喉乾いたんです、でもふらふらするんです」
さっきもお水取りに行こうとして落ちてしまったの。だから支えて、座らせて。
何度か短くそういうふうにお願いしたら、ぐっと肩に手を添えられて起こされる。
熱が出ているからなんだか感覚も過敏で、すこし痛い。とはいえ自分からねだったんだから文句なんて言わないよ。
この水はいつのかと聞かれたから、素直に3週間くらい前からそこに置いてあるやつだよと答えた。そういえば、先週もあなたはこの部屋来たっけ。見覚えあったのかな。
再び俺は寝かされて、ディーディリヒさんは部屋の外に出てしまった。あれ、飲ませてくれないんだ。
ややあって、ディーディリヒさんは戻ってきた。いったいどこへ行ったのかと怒ったら、飲み物を買いに行ってたと。
「りんごと水どっちがいい?」
「……りんごのみます」
ゆっくりと体を起こす。ベッドから降りようとしたら、そのままでいいよと言われた。
りんごジュース。わざわざコップに注いで渡してくれた。口を付けると、喉がチクチクと痛む。風邪を引いているのだから当然か。
いつもよりずっと時間をかけて、少量を飲み干すことができた。それからもう一度横になって、ふうふうと息を繰り返す。
ディーディリヒさんは、ベッドの脇に座って、俺が飲む様子を見ていた。
ただそれだけのことがなぜだか少し嬉しい、のかも。喉が痛いし咳も出るし熱でむくんできっと変な顔だけれど。
「抱っこして、」
「先にヘルメス君に連絡だけしてきてもいい?」
「ダメです」
「、ダメかぁ」
また隣に寝そべってくれた。体は相変わらずひんやりとしていて気持ちがよかった。
りんごジュースおいしかったし、ディーディリヒさんもいてくれて、なんだか少し気持ち的に楽になったかもしれない。昨日の夜からずっと1人で苦しんでて、それはいつものことではあるんだけどやっぱり少し寂しかった。
「げほ、っけふ」
咳をすると頭に響いて痛い。咳止め飲んだ方がいいんだろうきっと。でも、どこにあるかわかんないや。
ダメだなぁ、こんなんじゃ。わかってはいるんだけど。
「ごほっ……えぐ、」
「よしよし、何か他にいるものある?」
いるもの、薬かな。咳止めの薬、あと吸入薬。とってもらう前にこの部屋の中から探してもらわなきゃいけないから、それは流石に申し訳ない。でももうどうしようもないから恥を忍んで頼もうとした。
その瞬間に激しい咳に遮られて、何も言うことができなくなった。まずい、これ。
「だ、大丈夫!?」
「ッゲホ、ぅ、ゴミ箱、取っ」
喉の奥から血が逆流してくる。普通だったら口まで来て、トイレにでも吐き出せばいいけど、咳が止まらないのだ。
咄嗟に体のしんどさも忘れて起き上がって、そっぽむいて、両手で口を押さえたけれどもう遅かった。
手から服からぽたぽたと滴り落ちる血。喉が張り裂けたように痛い。服が、いけない、汚れてしまった。
頼むからこっちを見ないでほしい。1番人に見せたくないところだ。血なんで汚いしグロテスクで気分悪くなるし、口から出たものなんて余計にでしょう。沈黙が痛い。そして怖い。はやく言い訳をしたいけれど、まだ咳が治らない。
「大丈夫だよ。今タオルとか持ってくるから少し待ってて」
怯えて顔を背けたまま縮こまっていたら、ひどく優しい声がかけられる。頭を撫でられて、すぐに離れていった。
また泣きそうだ。優しくされたのと、気持ち悪いって思われてなかったみたいでよかったって安堵と、でもやっぱりこんなとこ見られたくなかったって。
別に初めてのことでもないけどさ。憧れてる人相手にこんな可哀想な姿を見せたいわけないじゃない。いつだって可愛い姿だけ見せたいの。でも、そうじゃない時もそばにいてくれるのは嬉しくて。でも、でも。
「タオル、お湯で濡らして絞ったから。ごめんね、ちょっと拭くからね」
斜め後ろ寄りの横から、ぬるいタオルが差し出される。それで手に余る血を拭って、口元を塞いだ。紺色のタオルがどんどん汚れていく。それと同時に、違うタオルで血が落ちた服と足が拭われていく。汚くない? 嫌じゃない? なんで人の血にそんなことできるんだろう。躊躇いもせず。
「咳すこし落ち着いたみたいだね、着替える? なら、出ていくけど」
「、着替えるけどでてかなくていいですよ、薬とってください。どこにあるか、わかんないけど」
「……わかった。な、るべく見ないから着替え終わったら声かけて」
そう言って背を向けて、机の上とか机下の収納とかをめくり始めた。
体はずいぶんしんどかったけど、血で汚れた服で眠るわけには流石にいかない。ふらふらする体に鞭打って、新しい寝巻きを取り出してベッドの上でのそのそと着替える。服を脱ぎ去ってもあまり寒くなかった。それだけ体温が高いのだと思う。
薬はすぐ見つかったみたいだ。病院からもらった薬は流石にちゃんと箱で管理しているから、なくしても見つけにくい。
脱いだ服をゴミ箱の近くに放り投げて、着替えが終わったことをディーディリヒさんに合図する。
「おわりましたよ」
「こっちも薬見つかったよ。飲めそう、かな、先に口ゆすぎにいこうか」
「つれていってくれますか、」
おんぶでもしてくれるかな、と思ったけど。俺が自分で自分の体を支え切れないからだろうか、対面のまま体を持ち上げられた。そのまま洗面所へ。
なんというか、これじゃ介護だな。立てないのだから仕方ないけどやっぱり情けないよ。
洗面所で口を濯ぐ、吐き出したものに血が混ざらなくなるまでには5回ほど必要だった。けれど、口の中はすごくスッキリした。いつも諦めて水で流し込んでいたから。
「すみません、」
「このくらいなんでもないよ。風邪引いてるのはティボルト君悪くないんだしさ」
帰り道、抱えられてる自分にどうしても失望してしまって、ついに涙が出てきた。ディーディリヒさんは慌てて、なんとか宥めようとしたけれど、ダメで。
ベッドに連れ戻されても、薬を飲んでいても飲んだ後も泣き続けて。仕方なくベッドに寝かされたのだけど、まだまだ悲しかった。
「ごめんなさい、ごめんなさい。俺いつも1人で、なんとかできてるんです、」
「そうだよね、うん。わかってるよ」
「あなたに迷惑かけるつもりなんてなかったのに」
「やりたくてやってることだから」
ディーディリヒさんは優しいから。もしあなたが冷たい人だったら、俺は風邪を引いても1人で治そうと意地を張れたのに。辛い時そばにいてくれて嬉しかったし安心したけど、でも、だからこそ不安で辛かった。
背中をさすられながら、もう一度謝る。涙が止まらなくて何度も何度も謝った。困り果てた顔をしてるだろうか、彼は。
いつの間にか泣き疲れて眠ってしまったみたいだ。体が汗をかいていて暑い。
「あ、起きた」
瞼を持ち上げたら、すぐに目が合った。ちょっとこわい。
横向きに寝かされてて、顔の下にはまた別のタオルが敷かれてた。タオルには少しの血がついてる。
「起きたか。熱はまだ高そうだな、喉はどうだ」
「ヘルメス。……喉、痛くないです」
血が出でヒリヒリズキズキ痛かった喉が治ってる。きっとヘルメスが治してくれたんだと思う。痛いのは治ってよかったけど、なんか2人して見られてるとちょっとこわい。
「飯食いな」
「いや」
「いいから、っと」
布団に潜り込んで逃げようとしたけれど、引っ張り出されて座らされてしまった。
外は結構真っ暗になっている。結局起きる前が何時かはわかんなかったけど、今は夕方過ぎみたい。汗をたくさんかいたから、少し熱は下がったようだ。座らされてもお昼よりはずっとマシだった。
もう一回薬飲んだ方がいいかな。今飲んで、寝る前にまた飲んだらずっと寝られるような気がするんだけど。
「大丈夫?」
「大丈夫ですよぅ、りんごのみます」
「わかった、はい」
また少し飲んで、飲んでいる間にヘルメスも戻ってきた。野菜とショートパスタの入ったスープを持って。
「これ、懐かしいな。こんなの家でもよく食べてたんですよ」
「定番だな。ゆっくりでいいから食えよ」
飲まず食わずで薬だけ飲んでたらまた腹痛くなるぞ。
「本当は、あんまり薬のまないで安静にして治さなきゃいけないんですけどね」
「寝られないほど辛いなら飲んでもいい」
「食べてるのにわしゃわしゃしないで」
よしよし、と頭を撫でられる。スープがこぼれそうだ。けれど気にせずに撫でてくる。ちょっと恥ずかしい。ディーディリヒさんに助けを求めたけど、元気になったねと笑われるだけだった。
ずっと水ばっか飲んでて、スープは久しぶりだった。本当に優しい味がする。もっとお肉食べたいなって思ったけど、あんまりたくさん食べても吐くだけだろうな。
食べ終わる頃には、お腹がいっぱいで瞼が重たくて仕方なかった。
「眠そうだね、薬飲んなら寝たら?」
「ううん、もう少し座ってます」
「顔色もマシになったな」
「2人してこっち見ないでくださいよぅ」
じっと見つめられるとプレッシャーだよ。もう。
ディーディリヒさんが隣に座ってくれたので、それに寄りかかるようにする。そうしてた方が楽だった。ソファにでもいたらいいだろうか。それじゃそのまま寝れないか。
俺も今日はいつもみたいにぺらぺら喋れそうにないし、2人は俺が起きる間に何かと話し尽くしたのだろう。話し? 言い争い? どっちでもいいけど。なんだか今は落ち着いてる。
「こっち見ないでぇ……」
黙って見つめられると本当に怖いの。やめて。
「ごめん、心配で……」
「赤ん坊から目離すやつがあるか」
ヘルメスはいつもの通り、自分の意思を曲げる気なんかない。ディーディリヒさんも申し訳ない顔しといてやめる気配全然ないし。居た堪れなすぎる。気恥ずかしくて、薬を勢いよく口に放り込んだ勢いでそのままお布団の中に篭っちゃう。じっとみてくる方が悪い。
あ、また何か2人で話し合い出したな。
そんなに賑やかにしてたら眠れなくって風邪なんか治んないんだから。なんて、思ってはいたけれど。そもそもお腹も膨れて眠かった。し、布団に入ればすぐにその眠気は戻ってきた。
まぁいいか。今そこまで苦しくないから寝た方が。それに、ヘルメスもディーディリヒさんもいるし。多分2人のどっちかはこの部屋にいてくれると思うから、大丈夫でしょう。
2人の談笑を遠くに聞きながら、ゆっくりと体をまるめた。