船長の子守唄 目を閉じて、開けての繰り返し。何度目かの繰り返しで眠ることを諦めたフリードは暗闇に包まれた天井を見つめた。
幼馴染が手塩にかけて造ってくれた飛行船で旅を始めてから一ヶ月近く経過した。身の周りで変化があったことといえば、自身の眠りが浅くなったことぐらいだろうか。
寝付きは元々良い方ではある。企業に勤めていた頃はベッドにもぐればすぐに眠りにつけた、だからこそ眠ることについては悩むことなど何一つなかった。
ベッドの上で一度身動ぎしてから、再び天井に視線を向ける。眠りにつくことができても、途中で目覚めてしまう。目覚まし時計が鳴る前より早く起きてしまう。いわゆる不眠だ、医者に診てもらわなくても分かる症状だった。
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