ずっと共に、永遠に。 うだるような暑さ。
季節は刻々と過ぎ行き、気がつけば梅雨の始まりを迎えた。
「暑いな…。そろそろクーラー付けようよ」
いかにも嫌な感情を顔に出しながら青年は隣を歩く相手に声をかける。
「そうだな。でもまずは扇風機の掃除が先だ」
言葉をかけられた相手はハハッと笑いながら背中をポンポンと叩く。
他愛もない会話を交わし、軽くはしゃぎながら雨が襲う前に家路へと急ぐ。
ここを曲がって公園から近道をしよう。大通りから行くよりかは幾分か早く着く道だからそれをよく知っていて。
パサッ。
角を曲がろうとした時、視線の端に何か動くものが落ちたような気配が。
微かな音を鳴らした正体は栞に近いサイズの紙切れで、表面に鮮やかな青と紫の紫陽花が咲いていた。
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