oneday13:00 起床
諏訪の手がドアのノブにかかる。ガチャ、と重い音を立てる扉。さらに開こうとする諏訪の動作が、ガッと鈍い音を立てて止まる。
何かにドアが当たった瞬間、諏訪の気配が周囲をぴり、と緊張させるようなものに変わる。
「スワタケぇ……」
玄関横に手を伸ばした諏訪の手は、上がった声で動きを止める。情けなさそうな声。犬彦だ。
ハア、とため息一つでぴりぴりとした気配を吹き飛ばした諏訪は、不機嫌そうに眉根に盛大にしわを寄せる。
「また飯か?」
ドアの横から顔を出すと、しょげきった犬彦がしゃがんで小さく頷いていた。諏訪は顎でドア前から犬彦をどかせると、扉を開いて片手で手招く。
「飯食ったらさっさと出てけ」
俺は今からジムに行く予定だったんだ、と言う諏訪に犬彦は無邪気に笑顔を向ける。
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