Repairing『えー、忘れ物? そんなのしたかしら?』
あれは2年半ほど前。世界の平和を最大のライバルと引き換えにし、その後闘いにも心が湧かず茫々と過ごしていた頃のこと。
水のボトルを傾けていたベジータの背後で、ブルマが素っ頓狂な声を上げたのだった。
『アタシあの時そっち行ってないもの。どうせヤムチャ達の……あ、よしよしトランクス~』
片手間に赤子をあやしながらの電話は続いた。
電話口の相手にはうっすら察しが付く。恐らくベジータが修行を重ねていた裏では、残りの戦士達による悟空の看病や、セルの捜索などが進められていたのだろうが……それにしてもだ。
(闘いの中で、私物さえろくに管理できんとは……マヌケ共め)
内心ひとりごちて空になったボトルを放る。
2815