風に揺れる四葉*
ルークが誘拐から戻り、数ヶ月が経とうとしていた。
「ルーク様朝です…おっと…」
ノックを3回、返ってこない返事を待たずに部屋に入ると、ベッドには上体を起こし壁を一点に見つめるルークがいた。珍しいな。数ヶ月前なら俺が声をかけずとも既に起きているのが当たり前だった。しかし、誘拐されてからというもの、朝のルークは必ず寝ていたし、俺がこいつを起こして身支度をさせてやるのが当たり前になった。
まさか、記憶が戻ったのか?不意に剣に手をかける。ルークの顔を伺うように、もう一度声をかける。
「ルーク…?」
ルークが俺に顔を向ける。
「がぁい」
ふにゃっとした寝起きの顔で俺の名を呼ぶ。まだ半分も開いてない目をさらに細め笑う。なんだ、いつものルークじゃないか。起きていたのはたまたまか。ほっと胸をなでおろし、剣から手を離す。ほっと…?自分の胸の感覚に違和感を覚える。記憶が戻っていたら俺は剣を振るおうとしたのか?いや、仮に記憶が戻ろうが戻らまいが俺のやることは変わらないはずだ。なのに
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