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    kawanosita09

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    kawanosita09

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    プロット作ってたけど全没にするので、供養することにした現パロカガ扉

    先生とカガミ白い人とカガミ

    ペタペタと音を立て歩く。
    廊下はひんやりとしていて、裸足の足の裏から伝わる。
    くるっと角を曲がって、また、くるっと回って。

    「あれ......?」

    トイレから帰ろうと部屋を探しているうちに迷ってしまった。
    うちはの御屋敷はとても大きく、養子として引き取られて間も無い自分には、迷路とそう変わりはない。
    誰もいないほの暗い廊下に、きゅうと胸が苦しくなる。

    不安になって、どこか明るい場所に出たくて、明かりのある方向へと小走りに走った。
    キョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていると、陽の当たりが1番いい縁側に出た。
    ぼんやりと白い影が見える。
    近づいて見るとそれは人だった。

    髪も肌も白く、着物まで白い人が目を瞑って縁側に腰をかけていた。
    陽の光をキラキラと反射させる白髪。
    真っ白い肌に走る赤い線。
    あまりにも綺麗で、思わず見惚れてしまった。

    「......おい、そんなに見られていると、穴が空いてしまうぞ」

    その白い人はそう言うと、白いまつ毛をゆっくりと開いてこちらを見る。
    少しずつ見える宝石みたいに綺麗な赤色に目が離せない。
    まるで時が止まってしまったみたい。

    「......うちはの子か?それにしては見ない顔だが、どうしたぼうっとしよって」
    「ぁ......」

    心地よい低い声が耳に届いて、やっと身体が動いた。
    切れ長の瞳は鋭く、近寄り難い印象を感じる。
    怒られるかもしれない......。
    でも早く戻らなきゃ。
    勇気を出して声を震わせた。

    「あの、えっと、迷ってしまって」

    そう言うとその人は目を丸くして、ぷっと吹き出した。
    怖かった印象がどっかに行ってしまい、逆
    に、急に人を笑って失礼な、という気持ちが湧き上がる。

    「ふはは、いや、すまんすまん。随分と神妙な顔をしとったからな。何事かと思えば、迷子とは」

    綺麗な人はお腹を抱えてヒィヒィと笑っている。
    そんなに笑うことなのか。
    段々と困惑と心配が勝ってきた。

    ひとしきり笑って満足したのか、パンっと膝を叩いてその人は立ち上がる。
    その音にびっくりすると、また少し笑ってた。

    「笑わせて貰った礼をせんとな。場所はどこだ」
    「え、あっ、お習字の部屋なんですけど」

    そう、この家に住んでいるうちはの人から、課題として課せられていた習字を習っていた途中、トイレに行きたくなり抜け出して来たのだ。
    課題をそのままにしてきてしまってるため、早く戻らなければと焦っていた。

    白い人は指を顎に当て、数秒考える身振りをする。

    「ふむ、ならあの辺りか」

    スタスタと歩き始める。
    その後を追うようにぺたぺたと後ろを歩いた。

    歩き始めて何度目かの角を曲がれば、見覚えのある部屋が見えた。

    「あ!ここです!」

    部屋をそうっと覗くと、部屋の真ん中に硯と半紙の置かれた小さい机がちょこんと置いてある。
    案内してくれた白い人にお礼を言おうとすると、ズカズカと部屋の中に入り、書いた書をひらりと拾い上げた。

    「これは、貴様が書いたのか?」
    「は、はい!」

    また目付きが鋭くなった。
    そんな顔でじっと見られていると、怒られるんじゃないかと不安になる。

    「うちは、カガミというのか」
    「はい!」

    背筋を伸ばして答える。

    「見込みはある。綺麗な書を書くようだな。目がいい」

    白い人は満足そうに笑い、カガミの頭を撫でた。

    「っ!ありがとうございます!」

    褒められるとは思ってなくて、びっくりした。
    でも、頭を撫でられるのは、とても久々で嬉しかった。

    白い人は部屋の時計をチラと見てよしと頷いた。

    「兄者はしばらく会議中だろう。暇を潰したかったところだ。そうだな……オレで良ければ見てやるが、どうする」
    「いいんですか!?」

    なかなか言い出せなかった。
    自分はよそ者で、お世話になってる人間なのだから、寂しくても、我慢しなくちゃって思ってた。
    でも、暖かい手を離して欲しくなかった。
    だから、その提案はすごい嬉しかったんだ。

    「よろしくおねがいします!えーと......先生!」
    「先生?ああ、名乗り忘れていたな。扉間だ。千手扉間。うちはとは同じくらいの名家であり、千手宗家の次男だ。これからも交流はあるだろう。覚えておけ」
    「はい!扉間先生!」

    それが、先生とカガミの出会いだった。



    先生と僕

    千手家とうちは家。
    それぞれ、書道家の名家として、名を馳せていた。
    どちらが優れている書道家か、いがみ合い、競い合っていたが、今代の当主である千手柱間様とうちはマダラ様が同盟を締結。
    名家同士で手を組んで木ノ葉書道教室を設立した。
    現在、柱間様が代表者として運営をしている。

    その柱間様の弟の扉間先生が、講師をしてくださる書道教室に僕は通っていた。

    放課後、いつものように書道教室に行こうと帰宅の準備を進めていると、隣のクラスの女子から声をかけられる。
    またか、と少し気持ちが落ちる。
    最近、クラスに限らず学校中が色めき立っているのだ。
    僕もどうやらモテるようで、よく放課後に告白をするために呼び止められていた。
    僕はあまり恋愛というものに興味がなく、なんなら告白なんて無視して書道教室に行きたい。
    しかし、無視なんて出来るはずもなく、また断わるために校舎裏に向かうのだった。
    (※場面転換)

    「......はぁ」

    思わずため息が出る。
    今日は告白してきた子を振ったらその相手に泣かれてしまい、動揺して書道にも身が入らず、先生に何度も叱られてしまった。
    どんよりした気持ちを抱えたまま、書道教室から家に帰る準備をしていると、先生に肩を叩かれた。

    「どうした、今日の貴様は少し様子が変だぞ」
    「......先生」

    先生なら、この悩みを解決してくれるだろうか。

    「先生は、恋をしたことはありますか?」
    「......は?」

    驚いた顔をした先生は、次第に震えだし、ついには吹き出して笑い出した。

    「わ、笑わないでください!」
    「ふはははっ!いや、すまんすまん。深刻な顔をしていたからな。何事かと思ったが......ふふ、そうか中学生だものな。なんだ、恋煩いか」
    「違います!」

    恥ずかしくて顔に熱が集まる。
    まさかそんなに笑われるとは思っていなかった。
    先生が笑い疲れて落ち着くまで待ってから話し始める。

    「よく告白されるんですけど、好きじゃないのに付き合うのも不誠実じゃないですか。僕、好きな人とか、恋とかよく分からなくて......」
    「ふん、罪な男だな。貴様も」
    「からかわないで下さい!」

    先生は、はは、すまんすまんと笑いながら僕の頭をポンポンと叩く。

    「そうだな。恋、と言うと少し違うが、まあ、あると言えるだろうな。ああ、一般論だが恋は落ちるものらしいぞ」
    「落ちる......ですか」

    考える。
    今までそんな女性に会ったことなんてない。
    子供っぽいかもしれないが、女の子と達と付き合うより、ヒルゼンやダンゾウと一緒に書道教室に通う方が好きなのだ。
    クラスで可愛いと言われる女の子も、可愛いとは思っても、魅力的にはどうにも映らない。
    そう、魅力的といえば、先生みたいに綺麗で美しい......。

    「あっ、僕って先生のことが好きなんだ」

    胸のモヤモヤがすとんと落ちて、急にスッキリした。
    そして、口に出してしまったことに気付き、ばっと先生を見る。
    先生は感情の読めない顔をしていたが、もう言ってしまったのだ。
    ええいままよ、このまま言い切ってしまえ!

    「先生!カガミは、先生のこと好きです!」

    先生はすぅっと目を細める。
    睨まれているようでも、その切れ長の目が綺麗だと思ってしまうのだから、もうダメなのだ。

    「なんとも言えぬな。貴様は勘違いだと言っても聞かぬだろう」
    「はい!勘違いじゃないので」
    「ならば、大人としてこう答えさせてもらう」

    先生はまた僕の頭に手を置いた。

    「''もっと大きくなったらな''」
    「!?」

    そう言われてしまえば何も言えない。
    先生は大人、僕はまだ中学生。
    年齢差なんて、僕にとっては些細なことだけど、法律はそうはいかない。
    ずるい、さすが先生だ。
    でも、僕もここで引き下がるわけにはいかなかった。

    「じゃあ!大人になるまで待っててくださいますか!」
    「さて、どうだろうか。まあ、待てるとは思うが」

    そう言って先生は窓の外に視線を向ける。
    先生の視線を追っても、外には誰もいなかった。
    窓を凝視しているうちに、先生は立ち上がった。

    「まあ、''大きくなったら''な 」

    そう言って先生は手をヒラヒラとしながら、立ち去ってしまった。
    僕は慌てて鞄を持って先生の後を追ったけど、先生はもうどこにもいなかった。
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