【吊り橋効果】(がしゅほま)
「きっと吊り橋効果、ですよ。」
急に話しかけたために訝しげに彼がこちらに目を向ける。
「何が?」
「貴方が女の僕に優しかった理由です。」
ようやく自分で納得できる答えを出せた。しかし満足した僕とは逆に感情の掴めない表情で彼は僕を見つめる。少し考えるように黙った後、少し呆れたような声が響く。
「吊り橋効果なんだったら、僕は常日頃から綺麗な女性が事件に関わったらデレデレして優しくなる、って君に思われたってこと?」
「それは……、」
それは、正直面白くない。
この人が他人にデレデレするところなんて見てられない。そんなに軟派な男じゃないだろう。いや、僕が知らないだけで女性にはもっと優しい……のか?いや、この人が優しいのは親しい人だけのはず……
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