【ご機嫌取りも楽しみのひとつ】癇癪を起こす様な子供っぽい怒り方は昔から変わらない。
こっそりと背後から抱きしめると小動物みたいに体が跳ねる。その口から矢継ぎ早に不満が飛んでくる前に口を開いた。
「何でもするから、機嫌を直してくれないか?」
俺からしたら舞璃愛のために何かするのはむしろ喜びなのだけれど、舞璃愛からすればそれは罰になるらしい。俺に何をして貰おうかと首を捻るのを見ていると自然と口元が緩んだ。
いったいどんな事を求められるのか、それすら楽しみで仕方ない。うんうんと唸るその横顔を、舞璃愛が何か思いつくまではずっと見つめていても許されるだろう。