昼下がり ぽかぽか暖かい春の午後。
ヨコハマに呼ばれて昼ごはんを食べた後のまったりした時間。ソファに座って本を読んでいる銃兎に「何読んでるの?」と銃兎の太腿の上に頭を乗せてソファに寝転ぶ。相手にしてもらえなくて寂しかった訳じゃなくて単純にどんな内容なのか知りたかっただけ。
「絵?」
「ん?ああ、この間行った美術展の画集だ」
「画集……」
本の方に頭を向けると美術の教科書に載っているような絵と少しの解説。休みの日に美術館やら博物館にはよく行くと言っていた。まだ一緒に行ったことはないけど、こんなの観てきてるんだと絵をじっと見ていた。
銃兎は何ページかめくり手を止める。
「この絵は素晴らしかった」
絵ねえ。僕がいるのにいつでも見れる画集なんか見るのかよ。
「三郎と一緒に見たいと思ったけど休みも合わないし、常設じゃないから一緒に観れたらと思ってこれを買ってきたんだ」
柔らかな表情で僕の頭を撫でながらそんなこと言うから本にちょっとヤキモチ妬いてた自分が恥ずかしくなる。
「ふーん」
絵はどうでもいいけど撫でられてるのが心地よくて目を閉じてしまう。お腹もいっぱいで目を瞑っちゃって太腿からの人肌のあったかさと窓からの心地良い風。
俺が画集を見ていたら三郎が俺の脚の上に頭を乗せてきた。内心ドキッとしたが、あまりにナチュラルだったから三郎的には兄がソファにいる時もこんな感じなのかもしれない。膝枕…可愛い……と思いながらも普通に喋る。かわいくてつい頭を撫でてしまう。緊張を悟られまいとしてペラペラと話していたが三郎からの返答はなくまずい引かれたかと思い顔を見るとすーすーと寝息を立てている。
腹を満たされた暖かい昼下がりだ。膝に乗った可愛い寝顔。子供体温の温かさが心地よい。画集をテーブルに置き眼鏡も外し誘われる眠気に身を任せた。
そよそよとカーテンが揺れている。