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    deco5174

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    deco5174

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    【fram】声 少し前まで比較的暖かだった気温も、年が明けると共にぐっと冷え込む日が増えた。
     特別寒さが苦手というわけではないけれど、かといって好きというわけでもない。強いて言うならば暖かい方が好きではあるものの、暑すぎるのは考えもので。結局のところ、何事も適当が一番だと思う。
     そんな少し寒くて、けれど空は雲ひとつなくからりと晴れた休日。布団を洗濯して、洗い立てのシーツに替えたその日の夜、せっかく替えたシーツがどろどろになるまで、アメジオはフリードに抱かれた。
     さすがにその上で眠る気にはなれず、予備のシーツに替えたベッドの上で微睡んでいたら、シーツを洗濯機に突っ込みに行ったフリードが戻ってくる。
    「せっかく洗ったばかりだったのにな」
     そうは言っても、汚れたのはフリードの家のシーツだったため、別にアメジオの機嫌は損なわれていない。これが彼の家での出来事だったならば不機嫌になっていただろうし、そもそも行為自体拒まれていたかもしれない。
     セックスをした後の適度な疲労感に包まれて、パンツだけ履いた格好でアメジオが寝転がっている。普段のきっちりとした格好からは想像できない姿だ。その隣に、スウェットズボンに上半身裸のフリードが転がった。
     ベッドについた左手に頭を乗せて、右手がアメジオに伸びる。手の甲で頬を撫でられると少しくすぐったい。
    「シャワーはどうする? 明日の朝にするか?」
    「ん……」
     本当は浴びたいけれど、動くには体が少しだるい。初めのまったく動けなかった頃と比べるとだいぶ慣れたなと思うけれど、それでも今シャワーを浴びるのは億劫なくらいには疲れている。
    「眠い? 寝るか?」
    「眠くは……ない」
     疲れてはいるけれど、不思議と眠くはなかった。これで眠ければ間違いなくシャワーも浴びずに寝るところだが、中途半端に眠たくないせいで、余計に迷う。
     まるでイヤイヤ期の子どものように渋っていたら、フリードの瞳がやさしく細められた。
     アメジオに触れている時、いつもこんな風に嬉しそうな表情をフリードはする。
    「……なあ、フリード」
    「んー?」
    「声……は、出した方がいいだろうか」
     脈絡もなく訊ねられて、えっ、と不思議そうにフリードはぱちぱちと瞬いた。
    「声って……セックスの時?」
    「ああ」
    「どうした、突然」
    「別に、ただふと疑問に思っただけだ」
     男の喘ぎ声なんて聞いても楽しくはないだろうし、なにより恥ずかしくていつも必死に声を押し殺しているけれど、例えば立場が逆で、自分が抱く側だとしたら、ずっと声を押し殺して感じているのか我慢しているのか分からないのは嫌なのではないかとふと思っただけで。
     だからと言って今後声を我慢しないかどうかは別の話だが、とりあえずフリードがどう思っているのかふと気になったので、雑談程度に訊いてみようと思ったのだ。
    「俺はどっちでもいい……って言うと聞こえが悪いんだが、アメジオが嫌なのに無理して出そうとするくらいなら抑えててもいいっつーか。まあ、声が出てなくてもアメジオがちゃんと気持ちよくなっているのは分かるし」
    「は……?」
     アメジオは思わずフリードを見上げた。
    「こらえる時に爪先がきゅっと丸まるところとか、小刻みに震えてるところとか、気持ちいいんだろうなって」
     くすくすと柔らかく笑いながら答えるフリードに、アメジオの顔にぶわりと朱が差した。思わず顔を逸らす。
    「い、いい……わざわざ言わなくて、いい」
    「なんで。アメジオが訊いてきたんだろ?」
     フリードはまるで揶揄う対象を見つけたとばかりに、今度は意地悪そうな表情を浮かべる。
    「必死に声を押し殺してるのに、思わず出ちゃった時の顔とか、俺は結構好きだけど」
    「フリード、」
    「時々トんじゃった時にたくさん声を出してくれるのも、ギャップがあっていいよな」
    「もういい……っ」
     どんな羞恥プレイだ。誰が細かく説明しろと言った。詳細が聞きたいわけじゃない。
     むすっとアメジオが唇を尖らせると、頬を撫でていたフリードの右手の親指の腹が、そっと唇に触れた。
    「だけど、アメジオは我慢する時唇噛み締めるから、傷にならないかは心配だな」
     右から、左へ。ゆっくりとなぞったかと思ったら、そのまま口の中にフリードの親指が入ってきた。
    「ちょ……、」
    「こうしたら口が閉じられないから、声も我慢しなくて済むな」
     指の腹がアメジオの舌の中心をなぞる。アメジオが噛んだりしないと、信頼しているが故の言葉。
     ゆらゆらと揺れるアメジオの瞳。そんなアメジオにフリードが覆いかぶさる。
     え、うそ、また?
     アメジオの表情に、困惑と焦りが浮かんだ。
     首筋に唇が触れ、そのまま鎖骨へと下がっていく。くすぐったいような、気持ちがいいような、ぞくぞくとした感覚に、思わず声が漏れそうになる。
    「っ、……」
     息を詰めて、それから慌ててフリードの体を押し返した。
    「こ、れ以上は、」
    「駄目なのか?」
    「…………替えのシーツが、もうないだろ」
     あったらいいんだ、とフリードは笑う。そういうことを言ってるんじゃない、とアメジオは眉根を寄せた。
     シーツのストック増やそうかな、なんて冗談か本気か分からないことを言って、フリードは楽しそうに笑った。
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