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    anun_nun_

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    anun_nun_

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    学パロです。
    ✝️🦋🦾→🌸ちゃんという感じ。
    短編が何個かありますが繋がってます!

    #aknkプラス
    aknkPlus

    ✱ ボスキと○○ちゃん

    「ボスキ…おはよ〜…」
    「ほんとに起きてんのか?」

    朝が弱い○○は、毎朝学校に行く時に家まで迎えに来てくれるボスキにからかわれることから始まる。家が近所で、幼稚園の頃から一緒のボスキは何かと○○の世話を焼いていた。以前、○○から『大変だったら毎朝迎えに来なくてもいいんだよ?』と言ったことがあったのだが、『寝起きのお前を一人で歩かせたらどこ行くかわかんねぇだろ』と言われてしまう始末だ。何歳だと思われているのかわからない。
    ボスキからしてみればそれは紛れもない本心でもあるのだが、何より毎朝二人が乗る電車、つまり通勤、通学ラッシュの満員電車に○○を一人で乗せたくない気持ちが大きかった。

    「ほら、こっちに来い」
    「いつもありがとね。でも、心配しなくても私のことなんて誰も狙わないよ」

    電車に乗り、ボスキは○○を人混みから守るように囲う。もう少し危機感を持て、と何度説教したかわからない。万が一にでも○○が知らない誰かに触れられたり、それで○○が傷ついたりなんかしたら、想像するだけで気が狂いそうになるというのに。それでものほほんとしたままの○○に若干ため息が出る。

    「黙って守られてりゃいいんだよ」
    「ふふ、優しいね」
    「黙って、と言っただろ」
    「ごめんごめん」


    ✱ フェネスと○○ちゃん

    学校につくと、ボスキは○○とクラスが違うため分かれることになる。とは言っても、隣同士の教室なので普通に学校生活を送っていれば頻繁にすれ違うことは出来ていた。

    「じゃあな。今日は放課後なんかあんのか?」
    「掃除当番だけ!」
    「わかった。じゃあいつもの場所な」
    「はーい」

    二人とも部活動はしていないので委員会の仕事などがない限り基本的には帰りも一緒なのだ。なので、放課後は人通りの少ない階段の踊り場で待ち合わせをしている。いつもの場所、とはそこのことだ。

    「おはよう、フェネス!」
    「あ、おはよう○○ちゃん」
    「今日は何読んでるの?」
    「……これ教科書だよ。小テストあるでしょ?」
    「………………えっ」

    ○○は自分のクラスに入り、隣の席のフェネスに声をかける。いつも○○よりも先に来て本を読んでいることの多い彼は、クラスで図書委員を担当している。内気な性格であまり友達が多い方では無いが、○○はフェネスが気兼ねなく話せる友人のひとりだった。

    「うそ!なんの小テスト!?」
    「英語だよ。○○ちゃんならちょっとやれば覚えられると思うよ」
    「そうかな…」

    慌ててカバンから英語の教科書を取り出す○○に、フェネスは微笑む。朝から賑やかで色々な顔を見せてくれる○○のことを見ていると自然と表情が崩れてしまうのだ。

    「ほんとだ、何とかなりそう…!教えてくれてありがとう、フェネス!」
    「いえいえ。1時間目だから頑張ろうね」
    「うん!」


    ✱ ハウレスと○○ちゃん

    無事に小テストを終え、○○は昼休みを迎えていた。友人と一緒に昼食を取り、食べ終わって談笑していると後ろから声をかけられる。

    「○○、少しいいか?」
    「どうしたの?」
    「先生から学級委員は職員室に来てくれないか、と頼まれたんだ」
    「わかった!」

    楽しそうにしていたのに悪い、と申し訳なさそうにしているのは同じクラスで学級委員を共に務めているハウレスだった。何も謝ることでは無い、とハウレスに言いながら二人で職員室に向かうと、担任から言い渡されたのは文化祭のことについて。学級委員は仕事が増えそうだ。
    職員室からの帰り道、渡された書類を見ながら二人は歩く。

    「もう文化祭の時期なんだね、早いなぁ」
    「そうだな。何事もなく終わればいいんだが…」
    「ひとりで何でもやろうとしないでよ?同じ学級委員なんだから、二人で力を合わせて、ね!」
    「……あぁ、ありがとう」

    今年は何をしようかなぁ、なんて楽しそうに考えている○○の隣を歩きながらハウレスは顔を綻ばせた。完璧主義のハウレスは1人で抱え込みすぎてしまったり、中途半端が許せなかったりする。そういうところを面倒だと思わずに力になると言ってくれる○○はハウレスにとってとても心の支えになっていた。
    教室に戻り、○○は元の友人たちの所へ、ハウレスはフェネスの所へ行く。

    「あ、ハウレス。おかえり。やっぱり文化祭のことだった?」
    「あぁ。また忙しくなりそうだ」
    「それにしては、何だか嬉しそうだね。もしかしてまた○○ちゃん?」
    「う、うるさい。さっさと食べるぞ」

    そう言ってハウレスが取り出した弁当箱は、何やらいつもの雰囲気が違った。フェネスは嫌な予感がした。

    「なんか……今日いつもとお弁当違う?」
    「よく気がついたな。いつもトリシアに任せ切りだと悪いと思って、自分で作ってみたんだ」
    「………………」

    フェネスには蓋を開ける前にわかる。
    そして蓋を開けたらわからなくなった。
    何故、それを持ってこようと思えるのか、が。

    「ねぇ……ハウレス。購買行く?」
    「何故だ?」
    「……ううん、なんでもない。食べよっか」


    ✱ ジャージを忘れた○○ちゃん

    5時間目は体育で、昼休み中に着替えが必要だったのだが○○はとあることに気がつく。

    「ジャージ忘れた……」

    周りにいる友人達から「も〜なにやってんの〜?」なんてからかわれつつ、向かう先は隣のクラス。

    「ボスキー!」

    教室のドアから名前を呼ぶと、昼寝をしていたのか机に突っ伏していたボスキがだるそうに立ち上がり○○の方へと向かってくる。

    「どうした?」
    「寝てたのにごめんね、ジャージ忘れちゃって…。ボスキのクラス6時間目でしょ?」
    「あぁ…だが下は流石にデカくて落ちるんじゃないか?」
    「短パン持ってる子がいたからそれ貸してもらう!でも、Tシャツなくて……。下着の上からそのままボスキの着てもいい?保健室に借りに行く時間もないし…」

    ボスキはむせた。盛大に。
    大丈夫!?なんて慌てている○○だが、ボスキからすればお前の頭が大丈夫、だ。いくら幼なじみだからと言って色々と問題もある気がするが、他のやつにその役を取られるくらいなら自分がやるしかない。

    「はぁ……。好きにしろ」
    「ありがとう!」

    ○○にジャージを渡し、自分の席に戻り再び机に突っ伏すボスキ。その後は全く眠れなかったし、○○から帰ってきたジャージも着るに着れなくて自分はTシャツで体育に出た。
    ちなみに、体育館での出来事。

    「あれ、○○ちゃん。それボスキのジャージ?」
    「うん!忘れちゃったから借りたの」
    「そうなんだ。よかったね」

    マーキングかと思った、という言葉は心の中にしまっておくことにしたフェネス。しかし、○○がボスキのジャージを着ると当たり前だがブカブカで、俗に言う“彼ジャージ”というものに見える。もしかすると、他の生徒はそう思っているかもしれない。

    「(ボスキはいいなぁ…俺のジャージを○○ちゃんが着てくれたら、もっとブカブカになって……ふふ、スカートみたいになって可愛いだろうなぁ)」

    そんなことを考えているフェネスの横で、○○とハウレスが話している。

    「大きくて動きづらそうだな。大丈夫か?」
    「大丈夫!でも、中なんも着てないからスースーするかなぁ」
    「え」
    「え!?」
    「あっ、二人とも!他の人には秘密ね!」

    爆弾を投下し、○○は友人達の元へ戻って行った。衝撃に立ち尽くすハウレスとフェネス。

    「な、何も着てないって、それ、大丈夫なのか」
    「俺だったら○○ちゃんにそんな風にジャージ着られたらもう……俺…俺…………」
    「ボスキはすごいな…これが幼なじみの力か。悔しいが少し羨ましい」
    「羨ましいけど耐えられない……もし何かの拍子にジャージが脱げちゃったら!?脱げなくてもはだけちゃったりしたら!?」
    「ハッ……!!ダメだ、この時間は他の生徒から○○を守らなければ……」
    「うん…、変態だと思われない程度に見守ろう」


    ✱ バカップル(※付き合ってない)

    放課後。当番の○○は同じ班のフェネスと教室の掃除をしていた。

    「ねぇ、フェネス。なんかオススメの本ある?」
    「そういえば、○○ちゃんの好きそうな本がつい最近発売されたよ」
    「え、そうなの!?」
    「うん。もしよければ一緒に本屋さんに……ってごめん!!何言ってるんだろ、俺……教えればいいだけなのにね。えっと、ちょっと待ってね、」
    「何で?一緒に行ってくれるなら行こう!」
    「え、いいの?でもボスキは?」
    「どうせボスキも暇だよ!」

    じゃあ決まりね!と嬉しそうな○○に、フェネスの心も踊る。思いがけない嬉しい予定が入ってしまって、フェネスのホウキを持つ手にも力が籠った。
    掃除を終え、二人はボスキの待つ階段へと向かった。

    「おまたせ、ボスキ……って。また喧嘩してる?」

    すると、そこではハウレスとボスキが何やら言い合いをしていた。いつもの光景なので○○もフェネスもまたやってるな、くらいにしか思わない。○○は二人の喧嘩は見てて面白いので放置することが多いが、争い事が苦手なフェネスはいつもその喧嘩を止める役割を担っている。

    「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。今度はどうして喧嘩してるの?」
    「喧嘩はしていない。ボスキの制服の着方がだらしないと注意していたんだ」
    「だからなんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ。教師でもあるまいし」
    「それはそうだが、ネクタイくらいしっかり結んだらどうなんだ」
    「めんどくせぇんだよ」

    人に指図されるのを嫌うボスキはハウレスのことをそれはもう、うざったく思っているのだが、○○からすれば友人で居続けている時点でボスキはハウレスのことをただ嫌いなだけではなくそれなりに認めているんだろうと思っている。それを本人に言うと「あんな奴友達なんて思ったことねぇよ」と言われておしまいなのだが。

    「二人とも、困るのはフェネスなんだからその辺にしてあげなよ」
    「○○ちゃん…」
    「ほら、ボスキ。こっち向いて?ネクタイ直してあげる」

    そう言うと、○○は慣れた手つきでボスキのネクタイを結び始めた。いつまで経ってもネクタイを上手く結べないボスキのネクタイを直すのは○○の仕事だ。
    …………と思っているのは○○だけで、本当はネクタイくらい上手く結べるボスキだが○○にこうして結んでもらうのをとても気に入っているのであえてだらしなくしている。確かに緩めている方が苦しくないし過ごしやすいのだが、それはそれこれはこれ、というやつで。

    「フッ、こうしてると俺達新婚みたいだな?」
    「えっ……、な、何言ってるの!このまま首締めるよ!」
    「急に物騒なこと言うなよ、悪かったって」

    そんな、ただのバカップルとしか言えないようなやり取りをはたから見ているハウレスとフェネス。

    「はぁ…俺もネクタイ緩くしようかな……」
    「何を言ってるんだ、フェネス。お前は結べるだろう」
    「ボスキだって結べるよ」
    「何?そうだったのか!?」
    「…………いや、結べないかも。うん。だからもう喧嘩はやめてね」


    ✱ 4人で

    「ところで、なんでフェネスもいるんだ?」
    「あ、そうそう!ボスキもどうせ暇でしょ?フェネスが本屋さんに付き添ってくれるから一緒にいこ!」
    「どうせ暇ってなんだよ、人を暇人みたいに言いやがって」
    「じゃあいいよ、フェネスと二人で行ってくる」

    フェネスの目がパッと光り輝く。もしかしてそれって……!と期待に満ちたその隣で、同時にボスキの顔が鈍った。

    「あ?誰も行かねぇなんて言ってないだろ」
    「ほら暇じゃん」
    「チッ……」
    「ハウレスも行く?」
    「えっ、いいのか?」

    ボスキの顔が更に鈍った。

    「もちろん!最近四人で遊んでなかったし、暇ならそのまま少し寄り道してかない?」

    この四人は1年生の頃は同じクラスだった。なんだかんだあり仲良くなった4人は放課後に少し寄り道したり、テスト期間は一緒に勉強したり、なんてしていたのだ。
    最近遊んでいない、とは言っても学校ですれ違ったりなどは頻繁にあるのでそんなに久しぶりな感じもしないのだが、やはり学校外に行くというのは特別感がある。

    「そうだな。丁度俺も本屋に行きたいと思っていたんだ」
    「俺も賛成だよ」
    「やったぁ!」
    「ったく…。さっさと行くぞ」


    ✱ 負けられない

    「ほら、これ。○○ちゃん好きじゃない?」
    「……!好き!!この作家さん好きだってこと覚えててくれたの?」
    「うん。○○ちゃんのことだから。忘れないよ」
    「そ……そっか、えへへ。なんか照れるな…」
    「……え?あ、あ、なんか俺変なこと言ったよね!ごめんね!」

    本屋さんにて。フェネスに紹介された本を持ちながらほんのり顔を赤くしている○○に、フェネスの顔はもっと赤くなる。
    そしてそんな二人の後ろで黒いオーラを放つボスキ。

    「おい……あからさますぎだぞ、ボスキ。少し抑えろ」
    「話しかけんな」
    「確かに○○は可愛い。お前が可愛がっていることも知っている。しかしそれは俺達も同じだ」
    「喧嘩売ってんのか?」
    「喧嘩では無い。強いて言うなら宣戦布告だな」

    そう言い残し、ハウレスは○○の元へ向かった。「俺にも○○の好きな本を教えてくれ」なんて話しかけ、○○と楽しそうに他の本棚へと向かっていく。
    ほわほわした気持ちだったフェネスがふと振り返ると、ボスキの醸し出すオーラに身震いした。

    「ちょ、ちょっとボスキ!?本屋さんで出すようなオーラじゃないよ!どうしたの?」
    「ハウレスにもフェネスにも○○は渡さない」
    「え、何言ってるの……?」
    「宣戦布告されたらこのままでいる訳にもいかないからな。フェネス、お前も本気でこい」
    「え…………………………」

    そう言うと、ボスキも○○の元へと向かった。取り残されたフェネスは唖然としながらその背中を見送る。

    「ボスキ……。ハウレスがなんか言ったんだ。勝ち負けとか、そういうのはあんまりつけたくない、けど。俺だって、○○ちゃんは誰にも渡したくない」

    こうして、○○の背後で密かに争いの火蓋が切って落とされた。
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