スロースタータールースターは、別に目立つ存在ではなかった。もちろんトップガンに籍を置くという時点で選ばれた才能ではある。とはいえなんなら俺の方が成績優秀、自他共に認めるトップガンのエースだった。
鈍臭え奴。最初はそう思った。周りからの評価だってそうだ。 ROOSTERーー気取り屋。なんてダサいコールサイン。確かに気取ってるけど、慎重すぎていつもチャンスを逃す。俺には理解できない。そういう意味で、俺があいつを気になるのは必然だった。
「ブラッドショー?」
bloody before me.ひとりでに弧を描く唇から漏れ出たのは本音だった。
「ハングマン。調子良さそうだな」
ハードデックで集められたトップガンの面々。久しぶりに見たルースターは、あの頃机を共にしてた時より軽妙に見えた。まさかお前にここでもう一度会うとはな。ルースターもそう言いたげに肩をすくめる。
1607