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    あかつき

    @akatsuki_pict

    AC6弊時空イラストログ等置き場

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    あかつき

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    解放√後、戦後のごたごたに当たる弊621とラスティの話。
    弊621の名前出てます同居もしてる感情復活済です注意
    621視点

    完璧なる計画書 ACのコックピットが完全に閉じ、ガレージの騒音と吹きすさぶ風の音がふつりと断ち切られる。シートの無機質な匂いと僅かな駆動音のみが狭い空間に満ちて、そこでようやく1人になったことを確認して溜息を付く。
     気を重くしているのは先程会議で纏めたばかりの作戦の計画書だ。とある解放戦線拠点の武器や物資、あわよくば場所ごと奪おうという無法者の一団の鎮圧が目的のそれは、我ながら完璧に仕上がっていると思う。同行する人選、敵方の把握とそれに応じた弾薬や武器の調整、補給シェルパを飛ばした場合の経路、万が一の場合の救援が来るまでの時間、等々。状況が二転三転してもすぐに転向出来るように、最小限の被害で抑えられるようにと合理的に練られたそれには何ら問題はない。
     問題なのは文字に書かれていない自分の心、ただそれだけだ。
     この作戦は三日かけて行われ、エアとラスティは別地域で行動する。
     たった三日、されど互いに遠く離れて鉄の雨の合間を飛ぶ事になる。それが酷く心細い。
     背中のジャックに機体ケーブルを接続し、軽量二脚までも重くなったような感覚を引き摺って外へ踏み出すと傾いた陽に照らされた。黒々と濃い機体の影が、お前はレイヴンなのだ忘れるなと戒めているようで、そのコントラストに思わず目を逸らして地面を蹴った。

    「……ただいま」
    「おかえり、戦友。随分と元気がないようだが」
     出迎えたラスティの黄金色の目が、酷い顔をしているだろう自分を捉えて心配そうにしている。
     そんな目をするな、余計な事を言ってしまいそうになるだろう。喉までせり上がった何かを押し込んで、そのまま彼の肩口にぼふ、と顔を埋めた。
    「例の作戦行動の概要が、纏まりまし、た……」
    「そうか。詳しく聞こう」
     連れられるがままに、ソファへ二人どさりと腰を下ろす。
     手首に内蔵したメモリからプロジェクターへデータを飛ばし、ぽつぽつと説明する。あくまで理性的に、目的と現状に照らし合わせて順序だてていつものように。
    「……とまあ、こういう感じだ。概ね事前に話していた通りだよ」
    「成程。その分なら、私から言う事は何もなさそうだ」
     何もない、か。本当に?だって、その期間中私たちは。
     唇を開きかけて、また噤む。
     その様にじっと視線が注がれているのが分かって、ますます何と言えばいいかわからなくなる。
    「戦友」
     少しの沈黙の後、ラスティが口を開いた。
    「偉いな、よくやっている」
     大きな手がわしわしと頭を撫で、まだ冷えていた髪に体温を移していく。
    「戦地において私情を差し挟まない君のことだ、物資の消費量と人材の適材適所、現実的な移動出来る範囲、それから皆の安全面などまで配慮して理想的な計画を組んだ。結果に悔いはないが、三日とはいえ私と会えなくなることに不安を感じている、といったところか」
    「……その通り、だ。レイヴンらしく、頼もしい戦友らしくどんと構えようと最初は思ったけれど、貴方にはやっぱり全てお見通しだな」
     少し肩の力が抜けて、ようやく胸の中の淀みが零れ出す。
    「そう、これが最適だと思ったから今更変更する気はないんだ。この拠点にこの人数が居れば、予備の移動も可能だし捕虜が居た場合にも人員を割ける、交代も出来るから疲労も抑えられる、でもそうなるとデータ守備地点が手薄になるから、ハッキング出来るドーザーが混じってたり大規模な襲撃された場合に備えてラスティとエアにそこに居て欲しくて」
     言い訳をするように、だらだらと言葉を紡ぐ。
    「こちら側の機密に触れることも考えたらやっぱりそうするしかなくて、でも前線に立つのは士気高揚も含めても私が適任で、決してこれを考えてる時に離れるのを何とも思ってなかったんじゃなくて」
     もはや何を言っているのか分からなくなって来た。支離滅裂に思考を巡らしていると、宙を彷徨う手をそっと握られる。
    「戦……いや、アレッタ。寂しい、怖いと、二人の時は素直に言ってくれて構わない。それを受け止めるくらい、容易いことだ」
     穏やかな低く響く声が、纏った英雄レイヴンの仮面を剥がしていく。
    「そう、そうなんだよ、戦場に絶対の安全なんて無い、もしもあの時みたいに私の知らない所で君が墜ちたらと思うと、たった三日でも私は……怖い。貴方の強さは信用しているし、こうするしかなかったのは自分が一番分かってるんだけど、はぁ……なんでこんな事になっちゃったんだろう。ほんと最悪!」
     やけくそで漏れ出た本音にラスティが笑う。
    「やっと言えたな。それでも他に悟らせず、我儘も言わずに迷わず利他を優先した君は流石だ、誇らしいよ」
    「他の皆だって、それぞれ家族なり大事な人なり居る上で同意して参加してるんだ、指揮取る奴が愛する人と離れたくないだの駄々捏ねる訳にはいかんだろ」
    「まあそうだな、だが常に客観的で居られる人間はあまりいない」
     そのまま手を引かれ、よしよし、とあやすように抱きしめられる。
    「先も君が言った通り、戦場に必ずは無い。それを分かった上で言わせてくれ。……必ず、無事に君の元へ帰る。約束する」
     相変わらずの真っ直ぐで笑いたくなる程の格好良さに、敵わないなと心中で両手を上げる。
    「ターミナルアーマーから替えるなよ、絶対だ」
    「分かっているさ」
     いつも安心させてくれる腕の中の温もりと心音が、今日のような日には却って不安も連れて来る。それでももう暫く、このまま離さないで欲しい。
     レイヴンではなく、ただ一人の人間として今思うのはただそれだけだった。
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