未定#2黒
軽い電子音を立ててエレベーターが到着したのはA1階。一般には立ち入り禁止フロアで、三つあるうちの一番下の階だ。
若干緊張する俺をよそに開くエレベーターの扉。
「はじめまして、青柳くん」
エレベーターホールで俺を待っていたのは、一人の青年だった。
「はじめまして。フロアについて説明をするから、着いてきてくれるかな」
「はい」
そう言われてひとまずエレベーターを降りる。
同時に扉は閉まり、箱はすぐに他の階へ流れていった。
俺が降りたのを見届けた青年は、すい、と背中を向けてエレベーターホールから伸びる通路に入っていった。
ついてきてくれと言われた通りに、置いて行かれないよう足を速める。
前を歩く俺よりもいくらか背の高い青年。俺たちと同じような服装だが、その色は真っ白だ。さっき見た顔に見覚えはなかった。
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