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    思いつきで書き始めてしまった特殊施設的なところで生きている🌟🎈とか何かの雰囲気文です…
    🥞目線で進みます。神高男子とかが出ています。

    未定#1人影


    朝、起床を促すベルが鳴る。

    もう起きているもの、眠い目をこすって朝食に出かけるもの、気づかず眠ったままのもの。
    それぞれがそれぞれの朝を過ごす。

    浅いブルーで統一された服、廊下も個室も天井も扉さえ白に覆われた施設。
    ここが俺たちの住処であり、居場所。




    「弟くーん、」

    コンコン、と個人部屋の扉をノックする音。
    ああ、と返事をして扉を開ければ覗いたくすんだピンク色のブレスレットの友人。

    「おはよ、」
    「はよ」

    時々気まぐれに起こしにくる暁山と二人で食堂へ向かう。どこもかしこも真っ白な廊下を抜けまた真っ白な扉を開けて辿り着いた食堂の中はオレ達と同じここに住む人たちでにぎわっていた。

    センサーにブレスレットをかざして、窓口から出されたプレートを受け取る。

    「どこ座る?」
    「んー…」
    「彰人、暁山、」

    手招く声に振り替えると、もう一人の友人が隣に二つ席を開け呼び掛けていた。特に拒む理由もなく厚意に甘えることにして席に着くと、深い青のブレスレットを嵌めた友人がおはようと笑いかけてくれた。

    「えっ冬弥くん、なんかご機嫌じゃない?なんで?」
    「実は、今日は授業が休みなんだ」
    「まじかよ」
    「えー!前のテスト成績良かったから?」
    「恐らくそうだろうな」

    各々にいただきます。と手を合わせ朝ごはんを食べ始める。

    毎日10時間きっかり行われる授業と、週に一回のテスト。
    授業では読み書きなんかの基礎知識から始まり、算数数学、地図理解、化学、生物理解。他にも不定期に体の検査だとか球技とか射的とかの実技とか、いろいろある。
    いくつかのクラスに分けられて授業を受けながら、テストの成績を上げていく

    「ボクこの間のテスト受けられなかったからなー…」
    「ああ、部屋から出られなかったとか言ってたな」

    ここに住むオレ達の個人部屋は、内側から鍵がかけられるがそれとは別に管理室制御の自動ロックがついていて、時々自動ロックによって部屋から出ることを禁止されることがある。
    それは1度に1フロア単位で起こる。理由は知らない。ただ自動ロックがかけられ、外に出ないようにとの指示があればそうする。それがここのルールだから。

    「今度はなんでだったんだろうな、前回は窓の張替えだったと聞いたが」
    「さあねー外がやけに騒がしかったけど、廊下側は部屋からなにも見えないし、」

    ひたすら本読んだり窓の外見たりして暇つぶししてたよ。と愚痴る暁山はテストを受けられなかったことがよほど悔しい様子だった。

    テストで良い成績を収めると外出許可がもらえる、らしい。
    自分の部屋からの外出なんかじゃなく、外への外出許可。
    幼いころここに預けられて、それからずっとここで生活してきたオレ達にとっては唯一の外へ出る手段だ。
    オレは別に外に出てしたいことがある…ってわけじゃないが、やったことがないものには興味が湧いたりもする。人間はそういう生き物だから。オレはそう生物理解で習ったから、きっとオレもそうなんだろう。他の奴らも。

    「ごちそうさま、」
    「ごちそうさまでした」
    「えぇっ?!待ってよー!」

    ぼんやり考えている間に冬弥とオレは食べ終わって、暁山も慌てて食べ始めるが、冬弥は置いてかないからゆっくり食べるといい。と笑った。

    それからきっちり食べ終えトレイを片して、またブレスレットをセンサーにかざす。
    食堂を出て、授業が行われる教室へ向かう。

    「俺はこっちだ」

    冬弥はそう言って自分の各フロアを移動するエレベーターがある方へ足を向けた。
    エレベーターは資格を持っている人間がブレスレットをかざさなければ動かない仕様で、今日は冬弥がその資格を持っているらしい。

    「じゃあ、また明日だね」
    「また明日な」
    「ああ、また」




    ―――




    「うわ」
    「うお、」

    暁山が廊下の掲示板を見て立ち止まるからぶつかりかけながらオレも立ち止まる。
    見上げると掲示板には前回のテストの成績表が表示されていた。

    「へー冬弥くん3位だったんだ」
    「すげーな」

    上から三番目に書かれた名前は冬弥。
    授業が休みだって言っていたから、好成績なのは知っていたがまさか3位とは。オレ達の中では実質1位を取ったようなものだった。
    なんせ1位2位には、いつもおなじ名前が並んでいるから。

    「トップツーは相変わらず純正かぁ」

    じゅんせい。
    それは、オレ達の中でいろんな意味を持つ言葉だ。
    エリート組だとかチートだとか、果てには嫌味を込めてモルモットなんて意味で使う奴もいる。

    けどどれも同じ人達を指して使われるもの。
    0517と0624
    これは番号であり、純正として成績表の1位2位に常にある名前だった。

    誰も姿を見たことがない。声も、なにも。
    ただオレ達が知っているのは、テストで常に1位2位をキープしていて、授業も検査も実技も俺たちと一緒に受けることはなくて、この二人だけに与えられた立ち入り禁止のフロアが3つあること。

    噂では女の子だとか、小さい子供だとか、実はAIだから名前が数字なんだとか。

    毎日毎日同じことの繰り返しをしてるオレ達の話のタネのひとつとして好き勝手言われてたりする。

    「次のテストは受けられるといいなあ」
    「がんばれよ」
    「弟くんもがんばりなよ〜」
    「うるせえ」



    ―――




    それから、いつも通りのカリキュラムをこなして、風呂と飯も終わらせて、また明日、なんて言い合って自分の部屋に戻る。ブレスレットをかざして扉のロックを開けてから、はた、と違和感に気が付いた。

    ほとんど無意識に振り向くと、廊下の先に誰かが立っている。

    「…え、」

    廊下に人がいるのは何ら不思議なことじゃない。消灯時間が間近でもう廊下には誰もいないとはいえ、まだ部屋の外に出られる時間。
    違和感があったのは服装だ。統一された浅いブルーの服じゃなく、何もかも真っ白な廊下に墨を流したような黒。異質な黒。

    その人はオレを見て、何故か柔らかく笑った。

    「早く部屋に戻ったほうがいいよ、おやすみ」

    その人は、ゆったりとオレの方へ歩きながらそう言って、手を振った。

    ちらりと見えた手首にブレスレットはなくて、とことん異質だった。不思議だった。


    「るい、」


    オレがぽかんとその人に気を取られていると、また違う声が聞こえた。
    るい、と呼びかけられたその人は後ろを振り返って、見ればそちらからもう一人真っ黒な服を着た人が歩いてきていた。

    「早く行かなければ、」

    もう一人はるいの傍まで行くと、その人を急かすようにそう言った。
    それからオレを横目に見て、少しの沈黙。

    「誰かに見つかったら大ごとになるぞ。バレたら消さなければならなくなる!」

    完全にオレと目が合った状態でそう言った。

    「そうだねえ、ひとに見つかる前に行かないとね、」

    フフ、とるいは緩く笑ってオレに手を振った。

    見たことのない真っ黒な服装の二人組がこちらを見ている。
    るいと呼ばれた方は緩やかに笑っていて、もう一人は眉を吊り上げて少し怪訝そうな顔。
    これはつまり、何かって、オレは早く部屋に入らないとやべえってこと。

    「っ!」

    慌てて部屋に飛び込んで、後ろ手に扉を閉めた。

    なんだ?なんだったんだ今の。ここに出入りしてる外部の人間がいるなんて聞いたことがないし、ここに住む人間は全員あのブルーの服に統一されているし、何より見たことがない顔だった。
    どっ、どっ、と今更心臓がうるさく鳴る。
    突然浴びた緊張感と、今になって感じる好奇心。

    「…明日、誰かに聞いてみよう…」

    噂好きな暁山なら何か知っているかもしれない…とひとまず区切りをつけて、ベッドにもぐりこんだ。




    ―――





    「はああ…」

    「どうしたんだい、ため息なんてついて」

    「どうしたもこうしたもない!お前のせいだろう!!急ぐぞ、今日は新人が待ってるのだからな!」

    「フフ、そうだね。あまり待たせては可哀そうだ」
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