汗 ぼた、と胸の上に温かいものが落ちてきた。
それはつつ、と肌の上を伝い、シーツの上へと転がり落ちた。
くすぐったいその感触に閉じていた目を開けた。
額や肩に光る汗。
今にも顎先から滴り落ちそうな汗に手をのばす。
「どうした?」
いつにない動きを訝しんだのか、ドラルクが視線を寄越す。
何でもねぇよと顎に伝う汗を手の甲で拭う。
「…ああ、すまない。気持ち悪かったかね?」
頬を伝って顎に垂れた汗をドラルクが自らの手の甲で拭う。
張り付いた髪をうっとおしそうにかきあげた。
「〜〜〜〜〜。」
「何だ、どうした。…こら、締め付けるな。」
滅多に見ることのない、こういう時にしか見れない仕草に胸がぎゅっとなるなんて。
絶対、絶対言ってやらねぇ。
「力、抜いて。」
そう言って、髪を撫でて、キスなんかして。
「狡ぃ……。」
「何が。」
「いつもと雰囲気違いすぎんだろ。その…色々。」
「はぁ?それなら君だって。」
そう言ってごり、と弱い所を強く突き上げられれば、堪えきれない声が漏れる。
「可愛すぎるだろうが。」
「こんのクソ砂ぁ……。」
「ほら、集中しろ。」
指と指が絡み、しっとりと体が重なる。
混じり合う汗の匂い。
普段汗をかくようなことはしない奴が、こんなになるまで自分を求めてくれていると思うと。
「……えらく気もそぞろだな。何を考えているのかね?」
愛されてるんだなって、ほんの少しだけ自信がつく。
「私の事だけ考えてろ。」
「考えてるよ。」
その気持ちを少しずつ少しずつ貯めていって、いつかいっぱいになったら。
ずっとお前のそばにいていいかと、言える気がするんだ。