結婚するレイチュリ 人間は、快楽に浸ると口が滑りやすいものだ。アベンチュリンは特に心理学や脳科学について学んだことはないが、経験でそれを知っている。こんなことをふと思い出したのは、ピロートークの中の恋人が問うた一言が原因だった。
「君は、自分の血筋を後世に残すことに興味は無いのか?」
彼の聡明さを際立たせる琥珀のような瞳がこちらを見据えている。微睡みの中にいたアベンチュリンは、その質問の答えに窮した。
自分たちの種族の境遇は、あまりいいものでは無かった。資源に乏しい星の、僅かな肥沃の地からは追い出され、相容れない部族と共に荒野と断崖の地でかろうじて住み分けていた。しかし結局戦争は避けられず、唯一の生き残りになったこの身には不自由がついてまわった。それを、我が子にも味わわせるのか。そんなものはきっと[[rb:家族 > ・・]]とは呼べない。
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