GERD 最近気に入っている女にねだられ、露店で籠に詰められていた猫を2匹購入した。赤毛の雄猫、赤と白が入り混じった雌猫は兄妹猫なのか、籠の中でぴたりとくっつき離れない。商人に話を聞くと2匹はよく躾けられており、飼い主の長期間の留守なども問題無いと言う。
露店の爺さんは籠をロープから外しておれへ渡すと眉間に皺を寄せた。
「ただ兄さんや、これだけは気を付けろ。この雄猫、雌猫に危機迫るととんでもなく暴れやがる」
「ほぉ、そいつは楽しみだ」
籠を手にすると、雄猫はおれに向かって得意げに胸を張った。その刹那、おれの脳裏にどこかのお頭と愛娘が過ったが、今は隣に女もいることだし、ここは都合よく忘れることにした。
それから女は猫達をを大層可愛がった。ああ、勿論おれも可愛がったさ、女の方はな。たまたまこの島には寄港する機会が多く、女と猫達には日を空けずに会うことが出来た。猫達もおれを忘れてはいないようで、部屋へ入ると2匹は一目散に駆けつけて頭をおれの足に擦り付けた。
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