金時と森の中が良い話森は召喚されたての金時を見てすぐに「全力でぶつかっていいやつだ」と認識した。
大きな身体、熱い声、焼けた鉄のような腕と太陽のように輝く金の髪。殺しても殺したりねぇ100点満点の首だと認識した。その日にすぐシミュレーションに誘ったし狩り勝負もした。ことあるごとに相撲をよくとったし、二人でよく一緒にいるし、昼寝したり、猪の皮を剥いだり…
そういう親友としての立ち位置で、ある日互いの目が金と碧であることに気付き、珍しくてもっとよく見たいので、明るい光の下でまじまじと高級茶碗でも見るかのように頭を掴んで頬が触れ、睫毛が絡み合いそうなほど近い場所でそれはそれは丁寧に見合っている。自然と息が止まる、茶碗の中の泡がふつと弾ける音が聞こえるほど静かな鑑賞。
瞳の中で炎が揺れている。水盆のようだが波が立たない。なんとも不思議で価値の付けようが無い宝物のようですっかり夢中になっていたら、通りすがりの者から「どうした、長い接吻だな」と言われて今の状況に気が付いた金時が大声を出して森を突き飛ばしてしまった。