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    nekononora

    94とFGO。書くのも読むのも雑食でいきます。逆、リバ、R、G、などなど書きたいように書き散らかします。
    設定がわからーん!

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    nekononora

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    ある鯖のネタバレがあるので注意
    パーバソなろう続き

    ポイピクにちょくちょく上げていって、しぶにはまとめてあげます。

    #パーバソ

    まったりスローライフ系が溺愛系になりそうです2◆◆◆
    チートはこれ以上、いりません


     馬に触った事すらないバーソロミューは、もちろん馬に乗れはしない。
     正直にそう告げれば、パーシヴァルは親切に馬の乗り方から教えてくれた。
     まずパーシヴァルがお手本を見せ、次にバーソロミューが手取り足取り教えてもらった。
    「どこを掴めばいいんだい? タテガミ? え、痛くないのかいそれは?」
    「あぶみ? あぶみって? あ、騒いだらこの子驚いちゃうか、でも待って、本当にどうすればいい?」
    「しっかりした子だけど、本当に私が乗っても問題ないね? けっこう体重あるよ?」
    「え、ここから右足で跨ぐ感じで? 後ろに倒れたら支えてくれよ?」
     というバーソロミューに、パーシヴァルは、
    「引きちぎるほど引っ張るわけでなかったら問題ないです」
    「鎧はこの足をかけるところだね。つま先からそう、上手だね。貴方が慣れないとこの子にも伝えたら、少しぐらいなら騒いでもいいと言ってくれたよ」
    「鎧を着た私でも問題がないんだ。貴方など羽のように軽いさ」
    「もちろん、貴方にせまる危険は私が取り除きますとも」
     と、全て優しく返事をしていた。
     因みにその間、他の騎士といえば、「パーシヴァル卿、デレッデレですねぇ」「一目惚れした相手の反応が悪くないとなれば、そりゃ押して押してにもなるかと」「良い土産話ができたな」と、長くなる気配を察知して、休憩していた。


     そんなこんなでやっと馬に乗れ、パーシヴァルは曳き縄を引いて馬を誘導して歩いた。
     馬に慣れぬバーソロミューを気づかってだろう。
     歩調は遅い。
    「パーシヴァル、後、どれぐらいだい? 私は君達には負けるだろうがそれなりに体力はある。自分の足で走るまではしなくとも、歩くよ?」
    「……私としては、こうしてゆっくり貴方とお喋りしながら歩きたいのだが……ダメかい?」
     馬の上から見ているせいもあるが、上目遣いで言われ、パーシヴァルの髪が目にかかり、あ、メカクレ、と思った時には「ダメじゃないですぅ」と絞りだすように言っていた。

     お喋りをしながらゆっくり行こうと決まったものの、いざ話すとなると、何を話せばいいのか分からない。
     パーシヴァルもそうなのか、頬を赤くして、少し困ったように微笑んでいる。目が合うと互いに微笑んでスッと逸らし、を繰り返す事、三回。
     よしここは、約二十年の会社員人生と年上としての矜持を見せようではないかと、バーソロミューは口を開き——
    「…………ええっと、ご趣味は……」
     後からトリスタンの「見合いですか」という言葉が届いたが、聞こえないふりをした。

     その後、メカクレについて熱く語り、ちょっと戸惑われたおかげでいつもの調子を少し取り戻した。
     流石メカクレ。
     メカクレは異世界でも私を救う。
     そして気がつく。
     パーシヴァルをよく見ていたからもあるが、どうにも唇の動きが聞こえているのと違う。
     吹き替えの映画やドラマを見ている感覚だ。
     ひょっとしてコレはあれだろうか?
     異世界あるある、自動翻訳機能付きとかそんなのだろうか。
     エレシュキガルが通じるようにしてくれたものなぁと思い、ふと自分の言葉はどうなのなと気になる。
     日本語として口にして、翻訳して相手に聞こえているのか、それとも、とそっと不自然にならぬよう口に手を当てて、話し続ける。
     ——口の動きが違う。
     なるほど、私自身の中で翻訳が完了しているという事か。自動的に。
     知らない言語を聞いても自動的に翻訳して聞こえ、さらに日本語で返せば自動的にその言語で話すという事だろう。
     ——この翻訳、どこまでだ?
     カルデア世界全てが同じ言語なら問題はないだろう。だが、多種族が存在し、地域ごとに言語が違った場合、ましてや滅んだ古代文明のかの言語に対応できた時、それはチートと呼ばれる能力になりえるのではないだろうか。
     エレシュキガルとのやりとりを思いだす。

    『騎士達とは通じるけれど……そうね港で働くなら通じるようにしておくのだわ』

     ——エレシュキガルー!!!!!! どこまでだ! 通じるようにしておくとはどこまでだー!!

     気づいてしまった可能性を、そっと相談するかどうかのリストに入れ、今は考えない事にした。


    ◇◇◇
    パーシヴァルが選んだ理由


     ティーンでもそうはならんやろというぐらいの甘酸っぱい空気をだしているパーシヴァルとバーソロミュー。
     ランスロットはその前方を、ガウェインとトリスタンはその後方を馬で進んでいた。
     ガウェインは優しい顔で二人を見守りつつ、隣で馬に乗るトリスタンに話しかける。
    「後でパーシヴァル卿に渋いお茶を馳走になりましょう」
    「えぇまぁそれには全面的に同意なのですが……ガウェイン卿、気づかれましたか?」
    「……えぇ。パーシヴァル卿の話した三つの言語、全てに完璧に返答してますね」
    「翻訳スキル持ちでしょうか? それとも女神の加護?」
    「……どうでしょうね。愛し子に関する伝承はあまりに少ない……ステータスを見せてもらえれば話は早いのですが、こちらでは裸を見るような行為、家族でも滅多に見せないと後で知られれば、いらぬ諍いをうむかもしれません。それにパーシヴァル卿が許さぬでしょう」
    「……そのパーシヴァル卿なのですが、港の問題が解決された場合、あの槍を持つパーシヴァル卿がこの地に留まるべきと考えますか?」
    「…………」
     パーシヴァルがこの地を申し出て授かったのには理由がある。
     彼が持つ聖槍。
     それは神にも届くとされた槍。
     この地の神が堕ち、祟り神となった時の最終手段としての装置。
     だからして、港の問題が解決した場合、この地に留まる理由がなく、彼の持つ槍をこの地で埋没させるさせるのは政として正しいのか。
    「……そうですね」
     ガウェインはパーシヴァルとバーソロミューを見やる。
     熱っぽい目で互いを見つめ合ったの思ったら、少し逸らしたり、微笑みあったりとなんとも甘酸っぱい。
     バーソロミューがカルデアの人間ならばパーシヴァルは他の者に領地を譲り、その槍を国の為に振るえるように、隣国との国境付近、もしくは王都に居を移すべきだと進言すべき場面だろう。
     だがバーソロミューは渡り人、しかも愛し子。
     港町でのスローライフを望んでいる。
     となれば、
    「愛し子様次第ではありますね……」
     いっそ愛し子様に問題ありでパーシヴァルが常に隣で見張らなければいけないとなれば。
     もしくは——
    「愛し子様がチートなら、常に隣で守らないといけませんね」


    ◆◆◆
    海だ! ロボットだ! 女神だ! なんでだよ!


     空気に潮が混じり、この先に海があるのだと全身が感じる。
     そわそわしていたのに気づかれたのだろう。
    「もうすぐですよ」
     と、少し馬を早めてくれる。
     木々の間、緩やかな傾斜が続き、木々がまばらになったと思えば、その先に空と海が見えた。
    「海だ」
     一分も歩けば、視界が開け、一気に海が広がる。
     神が荒れて鎮められ、そこから魚がとれずと聞いていたので、澱んだ空気を纏った暗い海を予想していた。
     だが目の前にあるのは青空の下、水面に青をきらめかせている海だった。
    「ぱ、パーシヴァル! ここかい!? この海かい!?」
     素晴らしいと思わず興奮して尋ねれば、「はい」と頷かれる。
    「ここからの道はやや急勾配となってますが、馬も場所も通れるので……」
    「なるほど、ここが丘になっていて、港には降りていく形になるんだね」
     ——あぁ馬の乗り方を学んでおけばよかった。そうすれば馬で駆けていけたというのに。
     ——降りて自分の足で走った方が早いか。
     バーソロミューは馬にお礼を言うと、降りようとする。
    「バーソロミュー、手伝うので」
     ずるりと落ちかけたバーソロミューをパーシヴァルが支え、抱き上げて地面に下ろす。
    「ありがとうパーシヴァル! では行こう!」
     バーソロミューがはやる気持ちを抑えられず駆けおりていく。
     一足ごとに海が近くなる。
     ——あぁここが! この海で私は!!
     その後をパーシヴァルが「馬を頼む!」と、誰かに馬を託して走って追いかける。
    「バーソロミュー!! そんなに走っては危ないよ!」
    「ハハハッ! 子供じゃないんだから大丈夫さっ!」
     子供のようにはしゃいで駆けていく。
     ——町には活気がないな。別にいい海がある。
     ——リアス海岸の港町か? 砂浜もありはするが、狭く、すぐに水深が深くなる。その分、町のすぐ横まで船を航行、接岸できる。
     ——波も穏やか、うん、いい海ではないか!
     ——泳げるだろうか? そういえば魔物がいる世界だったか。危ないか。あぁでもちょっと泳いでみたい。砂浜まで行って浅瀬で、

    「バーソロミュー!!」

     坂を降りきる前にパーシヴァルに腕を掴まれる。
    「邪魔を——」
     するなと言う前に、パーシヴァルに引き寄せられ、背中に庇われる。
     庇われる? パーシヴァルが海に向かい槍を構えている?
     何が起きているか理解する前に、何かが起きているなら大人しくしたほうが利口だと察知して、暴れはしない。
     一秒とせずに海面が盛り上がった。
     巨大な質量を持った何かが海水を伴い海中から上がってくる。
     鯨が海面から顔を出したらこんな感じかもしれない。
     ザバーンという轟音と派手な水飛沫と波を発生させながら出現したのは、白を基調とした黄緑と金色がアクセントのかっこいい巨大ロボットだった。
     パーシヴァルが、「女神トラロック様……二十年、姿を現した事がないというのに」と緊迫した声で言い、バーソロミューは呆然と、
    「いや世界観」
     とツッコンでいた。


    ◇◇◇


     女神トラロックの巨大起動兵器

     ガウェイン達も実際に見た事はなく、書物や口伝通りの大きさと外装だった。
     この二十年、姿を現してなかったというのに、なぜ、とは考えるまでもない。
     愛し子の存在だ。
     ガウェイン達はパーシヴァル達のそばまで馬で寄ると、降り、愛し子を守るように立った。
     女神トラロックが姿を現すのかと緊張しめいれば、ほつりと頬に水滴があたる。
    「……雨?」
     あれだけ晴れていたというのに、空には雨雲が広がっていた。
     ぽつりぽつりと雨が降り始め、激しさこそないものの、しとしとと地上に水滴を降らしていく。

    「貴方がエレシュキガルが言っていた渡り人ですか……」

     けして大きくはない。遠くから聞こえているとも分かるっているのに、音が届いているという、不思議な感覚。

    「私の名は、」

     巨大起動兵器の胸元に光が集まり、形を模ったかと思えば、一人の女性となって収束した。
     ふわりと浮かぶ彼女は自由落下する前に巨大起動兵器の手の上に着地する。
    「女神トラロック。渡り人よ、女神エレキシュガルからの書状を渡す事を許そう」
     女神を乗せた巨大起動兵器の手が動き、ガウェイン達のそばまでくる。
     バーソロミューが守ろうとしたパーシヴァルを手で制して、前に出て書状を差しだした。
    「お受け取りください。女神テノチティトラン様」
    「っ」
     女神トラロックが、いやバーソロミューの言葉を信じるなら女神テノチティトランが息を呑む。
    「貴方……」
     女神テノチティトランが目を細めてバーソロミューを見据える。
    「?」
     不思議そうなバーソロミュー。その顔は何かやってしまったかな? と表現していた。
     パーシヴァルがいつでも割ってはいれるように警戒していたが、フッと女神テノチティトランから圧が消え、口元には微笑みすら浮かぶ。
     同時に雨がやみ、雲が晴れていく。
     空気がさらに澄み、空中の魔力濃度が上がるのを体感してする。
     ——この港町は赦されたのだ。
     本能でそう理解している間に、雲の隙間から太陽の光が漏れ、天使の梯子のように海面や地上まで続き、女神テノチティトランを手に乗せた巨大起動兵器が空に浮かび上がった。
    「確かに受け取りました。女神テノチティトランの名の下に、この町への繁栄を祈りましょう」
     天使の梯子の間を巨大起動兵器が優雅に飛んでいく。
     やがてその姿は地平線に消えていった。

     残されたガウェイン達。
     バーソロミューが、あ〜と声を出し、咳払いをしてから、質問した。
    「ひょっとしてなんだが、私、また何かやっちゃったかい?」
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