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    nekononora

    94とFGO。書くのも読むのも雑食でいきます。逆、リバ、R、G、などなど書きたいように書き散らかします。
    設定がわからーん!

    ☆silencio seguir Grita con emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 75

    nekononora

    ☆silencio seguir

    お題:狸寝入り
    時間:1h +2h
    昔書いた、エサファンタジー一夜パーバソの続きです。
    パーシヴァル視点。

    #パーバソワンドロライ
    #パーバソ

    こんなよくある話ならこの後はきっとハッピーエンド 冬の寒さに命の危険を感じた事も、理不尽な暴力に晒された事も、数日間水だけで耐えるような飢えを体験した事もない。
     快適に過ごせる部屋に、守ってくれる大人、腹一杯食べられる食卓。それに歴史や算数、貴族のマナーなと学も与えられ、剣や槍といった武術にも励む事ができた。
     恵まれている。
     生まれを考えれば、秘密裏に殺されるか、何も与えられず一生閉じ込められていてもおかしくはないのだから。
     それは理解しているし、ありがたいと感謝もしている。
     だがそう納得できるかは別の問題で、特に自分の生まれを知った十歳の頃は、全てに裏切られた気持ちになったものだ。家族のような温かみを与えてくれていた執事やメイドも、この世の全てを知っているのではと尊敬していた家庭教師も、厳しくも優しく指導してくれた剣や槍の師も、全てが信じられなくなり、それでもいい子でいようとして、ストレスが溜まり、ある日、突発的に家を飛び出した。
     そのきっかけは、誰かに陰口を言われただの、テストで悪い点をとっただの、槍が上手く振るえなくなっただの、そういう理由ではない。午前中の稽古を少し早目に終えて歴史の勉強までの空き時間。汗をかいたので部屋で着替えている時、ふと気がついたのだ。
     ——今なら、この家から出られる。
     着替えは数年前から一人でおこなっており、部屋に一人。それでも部屋の前に使用人が控えているが、彼は最近家に来た新人だ。他の者達は稽古が早目に終わったのをまだ知らないか、今、師から報告を受けているだろう。
     そうだ。今ならば。
     窓から木に飛び移り、そのまま塀を乗り越えて外に出られる。
     ほんの数秒、たいして音も立てずにやってのけられる自信があった。
     むしろ今しかない。
     伸びてきた木と、部屋の窓の位置、そして最近、自分でも分かるほど向上してきた体力と運動神経、それらを繋ぎ合わせて対策するだけ周到さが彼等にはある。
     そう考えてしまった、まだ十歳の幼な子の行動を止める者は誰もいなかった。

     自由を得た気になった籠の鳥は興奮に胸を高鳴らせて、一人では歩いた事のない町を歩いた。
     馬車の中から見聞きした街並みは、今は全てが煌めいて見える。
     これからどうしようなんて考えも浮かばない。
     自分で、自分一人だけで歩いているのだ。歩けるのだと勘違いして、町を歩く。
     だがその興奮も長くは続かなかった。
     理由や事情や立場はどうあれ守られて慈しまれて育てられてきた毛並みのいい籠の鳥は、あっという間に悪い大人に捕まりそうになっていた。
     袋小路の路地裏に追い込まれて、抵抗も虚しく押さえつけられ縄で腕と足を縛られ、猿轡をはめられて頭から麻布を被せられる。
     暗くなる視界。
     腕に少しは自身があった為に大人二人がかりとはいえ、数分も戦えなかった事が悔しくて堪らない。
     これから自分はどうなるのか。少しでも情報を得ようと耳をそばだたせれば、『上玉』『高く買ってくれる』『その前に味見を』と意味が分からないが全身の血の気が引いて鳥肌が立つ言葉が並べられた。
     なんとかして縄をと思って暴れるも、的確に鳩尾に拳を叩き込まれて痛さと恐怖でまともに動く事もできない。
     担ぎ上げられ、運ばれるのが揺れでわかる。
     こんな事なら家をでなければ、そう後悔していた時、「ちょっと失礼」と自分を攫おうとしていた男達ではない、とても涼やかで心地の良い声が耳朶を打った。
     続けて、ぎゃっという悲鳴。「何をしやがる!」という怒声と、「名乗れと言うなら名乗ってやろう! 私はそう! 将来有望そうなメカクレ少年を助けるメカクレを愛するメカクレの奴隷さ!」「意味のわからないことを!」どたんばたんと音がして、身体が投げ出される感覚。落下している途中で腕に抱き止められ、ゆっくりと地面に下ろされた。
    「さて、メカクレの君は前髪とか切られてないかい?」
     麻布が外され、裏路地の、それでも眩しい光と共に、その人自身がキラキラと光ってるんじゃないかと思える男性がいた。
     綺麗や美しいという褒め言葉しか出てこないほど、男性は美しかった。
     少年はそれでもなんとか男性の美しさを褒め称えて、自分の心を伝えようと口を開くが、はくはくと唇が動くだけ。
     それを見て男性は何か勘違いしたようだ。
     優しく微笑むとふわりと少年の頭を胸に抱いた。
    「大丈夫だよ。怖かったね」
    「!」
     潮と汗の匂い。
     そして弾力がありつつ柔らかな感触に、少年の頭からは少し前の恐怖など吹き飛び、もう頭は男性の事しか考えられない。
    「あ……ぅ」
     頭に血が上り、一気に下がっていく感覚。目の前が白んできて、少年は男性の胸の中で気を失った。

     そして目を覚ますと、男性はいなくなっていた。
     かわりに見慣れた天井と寝慣れたベッドで、執事が心配そうに横に立っていた。
     少年の家出に気づいた執事が、すぐに町に探しにでてくれたらしい。
     喫茶店のテラス席にて、男性に膝枕をされて寝ている少年を発見したそうだ。
     男性は「将来有望なメカクレを保護しただけさ!」と、お礼を辞退して去っていったらしい。
     少年は男性の膝枕を覚えていない事を悔しがったが、男性の事を調べたであろう執事に彼について質問はしなかった。
     少年は賢く、自分の置かれた立場を理解していた。
     自分が求めれば彼の迷惑になる。
     人生で一瞬でも彼のような美しい人と交れた事に感謝をして、一人で生きていこうと決めた。


     そうして十年後。
     少年は二十歳の青年となり、仮面舞踏会に参加していた。
     会場に着いてから男にも女にも声をかけられるが、丁重にお断りし、壁の花となり、ため息をこぼす。
     正直、他者から清き愚か者と呼ばれ、自分もそうかもしれないなと自嘲気味に認めてる青年からしても、今、自分を取り巻く環境は受け入れ難いと思ってしまう。
     十年前のあの日から、恋人も伴侶も得ずに一人で生きて死んでいく覚悟はできていた。
     この国から二つ国を挟んだ宗教国家、その王家の血をひく自分の子は争いをうむと。
     様々な思惑があるとはいえ、秘密裏に保護され生かされているだけで感謝しなければならないと。
     だが十年で情勢が変わった。
     青年の祖父が治めていた国ではクーデターがおこり、新国家が樹立。神の血をひくとされ国の王であり続けた一族はとらえられ、各々、裁判にかけられたという。
     青年はというと、禍根を残すべきではないという意見もあったらしいが、困った事に新国家で青年の父と母の物語が国民に支持され劇にとなり本となり、今や知らない者はいないほどの身分違いの恋物語として人気を博しているらしい。
     命を賭してまで守り外に逃した愛の結晶、つまり青年の事だが、その結晶を砕こうものなら、国民の不況をかってしまう。
     なので捉えて裁判にかける気はないし、暗殺者を差し向ける気もないが、戻ってこられるのは困る。よそで家庭をもって幸せになっていて欲しい。その方が物語として美しいし、国民も安心する。だけど子供を作られてはその子を担ぎ上げる輩がでないともなので、男と結婚してくれ。
     そんな要望を元に国同士でやり取りがあり、青年の知らぬところで取り引きされ、決定された。
     この国の王から直々に命が下されれば断れるはずがない。
     物心つく前からそばにいてくれるメイドは青年のかわりに怒り泣いてくれたのがせめてもの救いだった。
     幸いにも、相手はある程度、青年の望みが通るらしい。
     無理強いはしたくないのでありがたかったが、あの人以外に自分が求められるとは思わず、そうすると政略結婚かと頭を悩ませてくれた時に、家令が一通の招待状をさしだしてきた。
     それは仮面舞踏会の招待状。
     名前だけは知っていたが、青年は参加した事はない。
     家令は、相手を見つけてこいとも、気晴らしにとも、言わずに「行った方がいいです」とだけ伝えた。
     長い付き合いの家令が言うのだからと仮面と認識阻害の腕輪を用意して、参加した仮面舞踏会。
     何が楽しいかわからず、帰ろうと出口に足を向けた時、何度も夢に見た男性が横を通り過ぎた。
     咄嗟にその男性の腕を掴みかけ、自分の手をなんとか押し留める。
     彼も仮面をつけ、認識阻害の腕輪をしていたが間違いようがない。
     彼だ。
     あの時、私を助けてくれたあの人だ。
     なぜここに。会えて嬉しい。今度こそ名前を。
     様々な思いが交差して、少年から青年と成長した男はずっと焦がれていた男性をいかにして手に入れるか計算をはじめる。
     十年前、男性について家の者が調査したはずだ。そして私が男性にずっと恋をしている事を家令なら見抜いているはず。その家令が行くように勧めた仮面舞踏会に彼が出席しているのだ。彼は私の結婚相手として合格なのだろう。
     自分の出生は彼に迷惑をかけるかもしれない。
     そう考えたのは一瞬で、彼と話をしたい、触れたい、また抱きしめて欲しいし、今度は私が抱きしめたいという感情の方が上回る。
     そういえばこの仮面舞踏会の開始の挨拶で、「我が仮面舞踏会では年齢を制限しておりません。だからこそ様々な方々にご参加頂いております。どうか皆様におかれましては、勇猛な狼や可憐な蝶を導いて、無事に巣にお返しください。そして狼と蝶におかれましては籠にお帰りください」と口上を述べていたか。
     牽制か。
     家令あたりが手を回したか。
     年上の愛しのあの人に会えて嬉しいのは分かりますが、今日のところは名前を聞いておしゃべりだけで籠に帰ってきなさいという。
     わかっている。
     また出会えただけで泣きそうなぐらい嬉しいのだ。
     今日は声をかけて、名を聞いて、話すだけ。
     あぁしかし、なんと声をかければよいのか。
     迷っているうちに彼は会場から庭に出てしまう。
     これは、誘い込まれている。
     そう分かっていても彼という光に着いていく事をやめられない。
     噴水の前、人気がなくなったところでついに、声をかけられた。
    「あ、あの!」
    「ん?」
     今気づきましたよという風に彼が振り返る。
     あぁ、月光の下に煌めく彼もなんと美しいことか。
    「どうしても貴方と話がしたく!! 後をつけるような真似をいたしました! 申し訳ない!」
    「……ふはっ、なんだそれは」
     頭を下げれば、彼は呆れたようにふきだした。
     彼の目線が私の衣服や腕に注がれ、次に揶揄うように細められる。
    「話だけでいいのかい?」
     蠱惑的な唇から紡がれた言葉に、青年は正直、期待してしまって顔に血がのぼる。
    「え!? それはっ! え!?」
    「ふ、ははは! なんとも可愛らしいね、君は」
     さあ座って、話をしよう。
     彼が噴水の縁に腰掛け、青年も従った。


     ちゅんちゅんと鳥の鳴き声がして、腕の中の彼が身じろいだ。
    「ん。あ〜」
     彼の声が枯れている。昨日、あれだけ甘く鳴いてくれたので当然か。喉にいいハチミツを贈らなければ。
     彼ば頭を振ったり、布団の中、その魅力的な四肢を動かし、
    「は?」
     と一気に覚醒した。
     気配から、慌てているようすがみてとれる。
    「っつ」
     彼はそろりと私の腕の中から抜けだすと、最小限の音で素早く服を着て、部屋から出ていく。
     ドアが閉まるのを空気の流れや僅かな木の軋む音から確認すると、パーシヴァルはパチリと目を開けた。
     やはり彼は泥酔していたのか。
     会場からワインをボトルごと持ちだし、飲んで踊って笑い合った。
     彼は青年の倍酒を飲んでいたが、足元はしっかりしており、受け答えも知性があり、酒が入って上機嫌と言われればそうかもと納得してしまうだけの酔い方だった。
     そんな彼に誘われるままに会場を抜けだして、宿に向かい、愛を伝えて自分の出生も伝えて、そして愛を育んだのだが、あの様子では覚えているかどうか。
     もう一度、今度は酒が入っていない状態で愛を伝えようと決め、青年もベッドから抜けだす。
     家に帰れば家令からの小言がそれは山のように待っているのだろう。少し憂鬱になるも、愛しい人と結ばれる為に、家令から彼の情報を聞き出さねばと戦地に赴く心境で籠に帰ったのだった。




    「——というわけで、改めまして、パーシヴァル・ド・ゲールです。サラザール、偽名でなく、本名をうかがっても?」
     彼の叔父に協力してもらい、二人きりにしてもらった男爵家の応接室。
     応接室に入ってくるなり逃げようとした彼を壁際に追い込んで、好みだずっと見てられると誉めてくれた顔を近づける。少し角度をつけて、浅いメカクレを作るのも忘れない。
     その状態で、十年前の事から仮面舞踏会、あの夜の事まで全てを語る。
    「も、もう少し傾けてって違う! えぇーと、なんの事ですか? 私にはさっぱり心当たりが、」
    「私と結婚すれば自分の船がもてるよ」
    「やっぱりあるかも。あ〜、しかしなぁ」
     彼は困ったようにパーシヴァルを見た。
     彼は自分の船が欲しいと語っていた。夢なのだとを小さくてもいい、自分の船が欲しいと。
     その話をする時は、嘘と本当を混ぜつつ上手に話す彼の目がキラキラ輝いており、あぁ本当に海が好きなのだなと微笑ましくなった。
     その夢と今はなき宗教国家の王族の子との結婚を天秤にかけているのだろう。
     パーシヴァルは迷う彼に、さらにカードをきる。
    「私は男と結婚した暁には、非公式ですが褒美をもらえます」
    「それを船にあてると?」
    「違うよ。船は私個人で貴方に贈るつもりで、その船を使っての商売について、国と交渉できるとしたら?」
    「バーソロミュー・ロバーツだ。その話、詳しく」
    「はい! 結婚式の日取りも決めましょうね」
     ようやく彼の口から彼の名を聞け、パーシヴァルは満面の笑顔で返事をした。
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