野いちごタルトに想いを馳せて「お手伝いありがとう、ククル。おかげでたくさん摘めたよ」
「にゃう!」
ぼくの労いの言葉に、使い魔のククルが元気な返事をくれる。
笑顔で籠いっぱいの野いちごを掲げる彼女の頬がお約束のように赤い果汁で汚れているのが微笑ましい。
ハンカチでそっと拭ってやれば、ククルは照れたように頭上の猫耳をぴこぴこと揺らした。
「にゃう……ありがとうございます」
「どういたしまして。さあ、帰ったらさっそくこれでなにか作ろうか」
「にゃう! ご主人! ククルは野いちごいっぱいのタルトが食べたいです!」
「いいね、そうしよう」
「やったー!」
金色の瞳をきらめかせて待ちきれないとばかりに駆け出した使い魔に釣られ、ぼくも帰路を行く足を速めた。
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