恋情オーバーフロー昔、アルハイゼンとまだ共同研究を進めていた頃のことだ。
当時の僕は何度も彼に贈り物をしていた。
カフェで売っていた新作の焼き菓子だとか、道端で見かけた綺麗な花だとか、本の栞だとか。それこそ思いつく限りありとあらゆるものを彼にプレゼントしたはずだ。
恋人だった期間にはより顕著に、世話を焼きたいのもあって事あるごとに何かを渡した。
あまりに頻度が高すぎて、当のアルハイゼンからは苦言を呈されることもあったくらいだ。
そんな中でもとりわけ、強く記憶に残っている贈り物がある。
あれはまだ付き合い始めたばかりの頃に何気なく贈った物で、当時、季節はちょうど秋から冬に変わり始める頃だった。
僕の前では比較的表情を変えていたアルハイゼンが、ムッとした顔のままずっと静かで、話しかけても短い返事しか返ってこなくて、何か怒らせたかと焦ったのを覚えている。
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