ほんの気持ち ここのところ初夏に近い陽気になることも多く冷たいものに手が伸びる。買い置いてあった六個並んだアイスのパッケージからひとつ、スティックを突き刺して頬張ったところで休憩室の扉がガチャリと開かれた。
「おふかれさまです」
顔を見せたみょうこうに掛けた声が多少もごもごとしたのは聞き流してもらいたいけれど。自分は今日、屋内作業だったが外はそんなに暑かっただろうか。うっすらと汗をかき、パタパタと襟元を扇ぎつつペットボトルから水を呷るのを眺める。
「艦内作業に駆り出されて参った」
ソファの隣に腰を落ち着けつつそう苦笑をみせた。いまは揃って整備中であり、当然ながら艦の空調は止まっている。自分の経験を思わず振り返り余計暑さが増した気すらしてくる。二個目に突き刺し、使っていない方のスティックも別のものにくさりと刺して、良かったら食べますかと箱ごと少しテーブルを滑らせた。言うだけ言って自分の分を頬張り舌で転がしていく。
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