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    nnjn999

    @nnjn999

    短いのとか色々ヤバいの。

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    nnjn999

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    素敵なヘッダーを描いてくださったふぉろわ様に、ささやかなお礼として書かせていただきました。

    コマ→ドドから、ピへ。

    願いは閃光の狭間にコマタナは、空を見上げていた。


    満天の星空。瑠璃色の空に、ガラスを砕いて散りばめたような星星が輝いている。
    時折瞬きのように揺れるそれらをコマタナが熱心に眺めているのは、そこに「ながれぼし」を探しているからだ。

    昨日、ピーニャに読んでもらった本で聞いたのだ。


    夜の空には時々「ながれぼし」が流れて、それが消えてしまう前に願い事を3回唱えれば願ったことが叶うと。


    コマタナには、願いがあった。


    ピーニャの腕の間でうとうとしながらその話を聞いていた時には、様々な願いが頭を過った。

    好きなきのみを腹いっぱい食べたい。腕の刀をもっと長くしたい。額の刃は鋭くしたい。宿敵のオコリザルを負かしたい。ブロロンにかけっこで勝ちたい。コータスに近寄れるようになりたい。パピモッチを持ち上げられるようになりたい。もうちょっと喋れるようになりたい。ピーニャよりも大きくなりたい。


    沢山沢山考えていて、気付いたら眠ってしまっていた。
    かけてもらったあたたかい布団の中で、コマタナはまだ考えていた。



    もし、「ながれぼし」を見つけられたら。




    「コマタナーそろそろ中入るよ」


    テントの入口を開いてピーニャが声を掛ける。

    その声は届いていたが、コマタナは空に貼り付けた視線を動かすことはできなかった。ちらりと目を逸らしたその一瞬で、「ながれぼし」が流れてしまうかもしれない。


    「おーい、コマタナー?」


    微動だにしないコマタナに、不思議そうに呼びかけながらピーニャが隣に立つ。見上げる顔はじっとコマタナを見下ろしていて、目が合うと柔らかく微笑んだ。


    「どうしたの?空なんか見上げて」
    「ナ!ナタタコマ!」
    「ん?」

    空に向かって腕を振り上げて一生懸命説明するコマタナに、ピーニャは目を開いて耳を傾けなんとか解読しようという意思を見せてくれる。

    「コマー!」

    高く掲げた腕を斜めに振り下ろすように動かすコマタナに、ピーニャは思い当たることがあったらしい。


    「?……あ、もしかして」
    「マ!」

    伝わっただろうか、期待を込めて目を輝かせたコマタナに、ピーニャは明るい笑顔で指を鳴らした。


    「またビワちゃんのところのオコリザルと戦いたいの?」

    「ナ…」


    そっかそっか、とひとり納得した様子のピーニャにがっくりと肩を落とす。



    その時、キラリと光るものが視界の隅で瞬いた。


    「ッタ!」
    「え?」


    声を上げたコマタナにつられて、ピーニャも空を仰ぐ。





    ほんの刹那、夜空を切り裂いた光の粒に、コマタナはありったけの声を張り上げた。

















    「ドドゲザン…ッ!」


    体から立ち上る煙の向こうで、ピーニャが顔を歪めて名前を呼んだ。


    全身が軋むほどのダメージに、ドドゲザンの体の奥がごわん、と鈍い音を立てた。


    しかし、そこで崩れるような情けない姿は見せられない。

    何よりも、ドドゲザンの意思はまだ一つたりとも折れてはいない。



    「もういい、戻れ、ドドゲザン!」


    ピーニャの必死の叫びにも、ドドゲザンは応じなかった。



    ただ背中に感じるその存在を守るため、盾として刃としてこの場から一歩も退かないことだけを考えていた。




    「ドドゲザン!!」



    空には満天の星。

    「ながれぼし」は流れているだろうか。



    あの時の願いを、叶えてはくれるだろうか。





    ドドゲザンが身を繰って振り上げた大刀が、夜空を切り裂くように煌めく。








    明日も、この先も、共に、貴方と。










    END.
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    nnjn999

    DOODLE勝手に始めた『こういう話が見たい』シリーズ。
    私が見たい感じの話を一部だけ切り取って書いていきます。CPもテイストも様々だと思います。

    今回は、だいぶ前にも何回か呟いたジニピの叔父×甥×怪奇ミステリ風の話。
    お察しの通り怪奇もミステリも書けないので本当に「見たい」という願望。
    こういう話が見たいシリーズ①(ジニピ) 吐く息も見えるような真冬の早朝。その学生は朝帰りの気だるい頭を俯かせて駅から家までの狭い道を歩いていた。通っている大学と同じ駅だが、反対側の出口を降りただけで途端に賑やかさは無くなる。学生向けの安い賃貸アパートが多いせいか、あまり治安が良いとも言い難い。
     とは言えもうそこに住んで二年目になる男子学生は慣れた足取りで先を急ぐ。アルコールの抜けてきた体にこの寒さはきつい。早く帰って少しでも眠りたい、とネックウォーマーに顔半分を埋め直した時、道の隅にそれを見つけた。
     ヒビの入った古いアスファルトの上に落ちていたのは、手袋だった。男女どちらともつかない大きさの、黒い革の手袋だ。
     特に珍しい光景ではない。こんな時期だし、場所柄酔っ払いも多い。落とし物などよくあることだ。しかし、男がそれを目に止めたのはある「違和感」からだった。
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