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    nnjn999

    @nnjn999

    短いのとか色々ヤバいの。

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    POIPOI 36

    nnjn999

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    台詞リクその3。

    シュウピニャで、『DJ悪事は我が育てた』です。
    久しぶりに書いたシュウピ…相変わらずシュメの口調が迷子ですが、楽しかった!リクありがとうございました!

    軌跡を共に「ピーニャ殿、着れたでござるか?」
    「あ、ちょっと、待って…」


    テントの中を覗き込んで、シュウメイは「む」と眉を寄せた。



    スター大作戦に先駆けてシュウメイが全員分の改造制服を作ることが決まり、昨夜やっとその一つが完成した。
    他の衣装は独特な生地や装飾が必要なためまだ少し時間がかかるが、ピーニャの分は比較的元の形を残していることもあり早く出来上がったのだ。

    寝不足で普段よりもやや高揚した頭を抱えて、シュウメイはまだ朝焼けの空の下ピーニャのテントを訪れた。早起きが習慣のピーニャは既に起きていて、これ幸いとできたばかりの制服を「着てみていただきたい!今!すぐに!」と押し付けた。

    「え?あ、できたの?わ、わかった…」と困惑しながら受け取ったピーニャが着替え始めるのを爛々とした目で見つめていれば、「あの……着たら、言うから」と控え目に追い出された。


    取り敢えずの完成だ。本人に着用してもらって、サイズやシルエットの微調整をする必要がある。
    ピーニャが寝泊まりをしているちいさなテントの前で腕を組み仁王立ちをして待つこと数分。なかなか声がかからないことに痺れを切らしたシュウメイは、徹夜のハイテンションのままにその帳を開けて中に顔を突っ込んだ。


    慌てたように振り向いたピーニャが止めるのも聞かず、中に入ってその正面に立つ。


    「ピーニャ殿」
    「え、なに、?」

    眉をハの字に下げてこちらを見るピーニャの手は丁度シャツのボタンを留めているところで、シュウメイは喉元に掛かっていたその手に己の手を伸ばした。

    そして、今しがた留めたばかりだろうそのボタンをさっさと2つほど開け放った。


    「?!え、ちょ、シュウメ、…何すんの?!」

    ぐっと掴まれた手に、シュウメイの睫毛に覆われた目が剣呑に細められる。

    「これが正解にござる」
    「は?」
    「それと…」
    「うわっ!!?」

    シュウメイの言葉に首を傾げたピーニャには答えず、きっちりとスウェットにしまわれていたシャツも問答無用で引っ張り出す。
    少しシワが付いてしまったことにまた眉を寄せ、ぱぱっと軽く手で伸ばした。


    「ふむ…これでよし。長さは問題ないでござるな」
    「ちょっと…シュウメイ」
    「あとは上着でござる」

    なにか言いたげなピーニャに構わず机に置かれていた上着を手に取り広げて見せる。アパレルショップなどで店員がするようにそのまま切ることを促せば、渋々と言った様子で腕を通した。




    「なるほど…我のイメージ通りでござるな」


    ブーツや帽子、更には既製品のリュックを加工したものも身に着けさせれば、そこにはシュウメイが考えた通りの「ピーニャ」がいた。


    「きついところや擦れるところ等はござらんか?」
    「無い、けど…ちょっとだらしなくない?」
    「笑止千万」
    「なっ、」

    シュウメイに直された箇所が気になるのか、開いた胸元を指先で弄りながら口を尖らせたピーニャを鼻で笑ってやる。馬鹿にされたと気付いたようで、きつい目がシュウメイを捉えた。


    「ピーニャ殿は、これから盛大に『悪ぶる』のであろう?」


    服のコンセプトを考えていた時、何度かピーニャに希望を確認した際に「音楽」という趣味と、もうひとつ、彼の中にある願望を引きずり出すことができた。
    スター団は決して不良集団ではない。けれど、「学園の学生」として考えた時、自分たちがやろうとしているのはある種の「反抗」に近いものなのかもしれない。

    ピーニャのこれまでの人生に、「反抗」等という言葉は存在しなかった。

    だからこそ、初めてのそれをするにあたって意識改革は必要であると生真面目な彼は考えたらしかった。


    『やるなら、ちゃんと“悪ぶって”みたい、かな』

    どこか照れたようにそう呟いたピーニャを見て、シュウメイは「彼の反抗の第一歩」をしっかりと飾ってやろうと決めたのだ。



    「なれば、服装は最もわかりやすい変化ではござらんか」

    「………」

    「だらしなくて正解。『悪い男』は隙があってこそ魅力があるでござるよ」



    腕を組んで胸を張り、そう言い切ったシュウメイをぽかんと見ていたピーニャは、やがてぎこちなく自身の姿を見下ろした。


    「そ……か」
    「そうでござる」
    「うん。…わかった」

    ぱ、と顔を上げたピーニャの視線に満足気に頷いて、シュウメイは身に付けていたポーチを開いた。


    「では、さて、ピーニャ殿。仕上げにその髪もセットさせていただこう」




    それが、始まりだった。







    「抜き打ち服装チェックでござる」

    「ぅわっ!?…シュウメイ?」



    ばさりとテントの帳を開けば、慌てたような背中が振り向いた。

    学園から拝借してきた机と椅子に座っていたピーニャは、突然の訪問者に目を丸くして固まっている。


    いつも会議のときに使っている彼のパソコンでなにか作業をしていたようで、開いた画面には見慣れないスコアのようなものが流れていた。


    「ピーニャ殿、それは?」
    「あ、いや、これは…って、ちょっと!」

    つかつかと許可も得ずに中に入り、困惑した視線をよこすピーニャの隣に立つ。何度言っても上まで留められているボタンを勝手知ったる様子で開けながら気になったことを訊ねる。

    「もしや例の曲づくりでござるか?」
    「え?あ、うん…オルティガが、スターモービルにスピーカー載せるから好きな曲流せる、て言ってたから…わ、待っ」
    「成程。それでオリジナル曲の作成を?」

    悪足掻きのように緩く仕舞われていたシャツも引っぱり出して、ぐっと引いて伸ばす。まったく、悪ぶると言った割りにこういう所はなかなか変えられないようだ。それならば、慣れるまで何度でも直してやろうと妙な気合が入る。


    「うん…まあ、素人の付け焼き刃だからやっぱ難しいよね」
    「聴かせていただきたい」
    「えっ、」

    ついでとばかりにやや乱れている髪も手を伸ばしてさっさと整える。
    近くなった顔にピーニャが一度言葉を飲み込んだようだったが、すぐに言われた言葉に気付いて眉を跳ね上げた。

    「え、いや、聴かせられるものじゃ…」
    「これが再生でござるな?」
    「話聞けって!」

    思わず、なのか普段の「練習」の成果か、普段よりも乱れた口調で止めるピーニャに構わず画面に触れた。


    流れてきたのは、シュウメイが想像していたよりも鋭く、心の底にある何かを沸き立たせるような迫力のある旋律だった。


    「……ピーニャ殿」
    「な、なに…?」

    心がそわそわとする。曲のリズムに乗せられるように、気分が高揚してくるのがわかった。

    「我も、この曲でいきたいでござる!」
    「へ、?」

    がし、と所在なさ気に机に置かれていたピーニャの手を取る。
    開いた小さな目に自分が映るほど近付いて、自慢の眼力で覗き込んだ。


    「素晴らしい才能!ピーニャ殿、これは世に出すべきでござる!」
    「は?…いやっ、無理だって、てか、近っ、」
    「無理とはやってみた結果出る結論でやってもいない事柄に使うものではないでござる!」
    「で、でも…」
    「まずはマジボス殿達にも聴いてもらうでござる!我も共に行く故、安心めされよ」
    「…………」

    さあ、と手を引けばどことなく頬を赤くしたピーニャが情けなく下げた眉のまま立ち上がった。

    「あ、あの、シュウメイ、」
    「何でござるか?」

    机に置かれていた帽子に気付いてシュウメイよりも上にある頭に被せる。向きや角度を整えて、よし、と満足して目を細めればぎゅっと唇を噛み締めたピーニャが小さな声で言った。

    「…ありがと」


    ぎゅん、と既に盛り上がっていた心がまた1段階何かを上げた。

    「……ふむ、成程」


    その感覚の意味をうっすらと察したシュウメイは、改めてピーニャの手を掴んでにんまりと笑った。



    「ピーニャ殿。この先、ユーの望む姿まで我が共に歩ませてもらおう」

    「…へ?」
















    学業とSTCの合間に続けていたピーニャによる「DJ悪事」の配信が、つい最近ささやかながら広がりを見せていた。
    先日出した新曲をとある有名配信者が「これは刺さる!」とコメントしたことから注目を集め、配信動画の再生数もコメントもまさにシビルドン登り、である。


    『悪事有名人じゃん!』
    『昔から推してた自分としては複雑なところもある…』
    『新しく来た人達はあの伝説の“コマタナブチギレ回”を知らないのか』
    『まあオレたちの応援が悪事の人気に繋がったと思えば誇らしくね?』

    最新の動画についたコメントを流し見ながら頬杖を付いていたシュウメイは、いつもの頭巾も被っていないラフな服装のまま画面をタップした。



    「シュウメイー、課題進んでる?…てか、何見てんの…?」

    「おおピーニャ殿!それは休憩用のアフタヌーンティーでござるな!」
    「そんな大層なものじゃ…て、それボクの…もー何やってんの、また追試くらうよ?!」
    「はっは、算術の有用性を学んだ我は同じ轍は踏まぬでござる」
    「今回生物学って言ってなかった…?」

    呆れたように近くにやってきて、手にした飲み物と菓子をテーブルに置いたピーニャの腕を引く。


    よく晴れた休みの良き日にゆるい私服で当たり前のようにシュウメイの部屋にいるピーニャに、口の端が自然に上がる。


    「何?……っ、ん、」

    昼間だと言うのに風呂上がりの濡れた髪を指にからませて唇を塞げば、少しの間の後に肩に手が乗せられる。


    嗅ぎ慣れた石鹸の香りに満足して、シュウメイはちらりと視線だけを動かして「DJ悪事」が楽しそうにおすすめの曲について話す動画を閉じた。

    そこに流れていった自分のコメントに、うっすらと目を細める。





    『DJ悪事は我が育てた』










    終わり
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