微睡みの祝福「おや、ピーニャ殿」
昼休みのグラウンド。思い思いに楽しむ生徒の声が響くその外れ。花壇の近くに置かれたベンチに見慣れた後ろ姿を見かけたシュウメイは、軽い気持ちで声をかけた。
「あ。シュウメイ。おつかれー」
「うむ。……む?」
ベンチ越しに首だけで振り向いたピーニャに頷き返したところで、その存在に気付いてぱちりと瞬きをした。
そよそよと気持ちのいい風に、淡い桃色が揺れている。
「なんか、昨日徹夜したみたいで」
シュウメイの視線を受けて苦笑いを浮かべたピーニャは、それからふっと俯いた。
目を伏せて、自分の膝に乗る頭を見る目は酷く柔らかだ。
彼は、自分がどんな顔をしているか分かっているのだろうか。
「…満腹でござる」
「?昼食そんなに食べたんだ?」
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