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    nnjn999

    @nnjn999

    短いのとか色々ヤバいの。

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    nnjn999

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    オルピニャ練習。短くて特に意味のないお話。
    多分付き合いたて。大きさの違う2人の良さを活かしたいのに、なんか薄くなってしまった…修行中の身故お許しください。

    手と手「オルティガ」


    ん。と差し出された手を見る。
    大きな手。上向きに開かれたその掌から、顔を上げて視線を合わせる。


    「何の手?」
    「荷物。持つよ」

    それ、とピーニャが差したのはオルティガが両手で抱えているいくつもの買い物袋だ。中身は殆どが今さっき立ち寄った店で買った様々な機器のジャンク品で、これからオルティガの手により新しい命が吹き込まれる予定の物たちだ。

    「え、良いよ。オレの買い物だし」
    「でも重いっしょ」

    ほら、と流れるように手にした袋を持っていかれて「あ」と低い声が出る。
    両手に溢れていた袋はその間に右手のひとつになり、オルティガは不満げな顔で自分よりずっと高いところにある顔を見る。


    「…子供扱いヤメロって言ってるだろ」

    ぶす、とした顔は間違いなく「子供」のそれだろうとは分かっている。言行が一致していないのは分かっているが、それでも不満は不満なのだ。

    何故なら、今日2人で買い物にきているのは単なる友達同士のお出かけ、というものではない。


    「そんなことしてないって」


    オルティガから掬い上げた袋を2つ左手で掴んだピーニャは、そんな反応にも笑って空いた右手を再び差し出した。



    「ほら、これで手、繋げるっしょ?」


    目を開いてピーニャを見れば、にこやかな顔の中で耳だけがほんのりと赤く染まっている。



    ぶわ、と首から上に一気に血が登ったような気がした。

    なんだそれ、恥ずかしい、ピーニャのくせに、そういうのはオレがやりたかった、オマエも恥ずかしがってるじゃん。
    色々言いたいことはあるのに、ぱくぱくと開閉する口からは碌な言葉は出てこない。


    「……………ん」

    喉から絞り出したような返事と共に、向けられた掌に思い切り手を叩きつけて力の限り握り締めた。


    「あいたたたた、ちょ、痛いって!」

    「ほら、行くぞ」


    体を傾けて悲鳴を上げたピーニャの手を引いて歩き出す。



    「待ってよ、オルティガ」

    慌てて足を動かしたピーニャは、それでもリーチの差なのかすぐに隣に並んで歩いている。


    それもなんだか面白くなくて、重ねた手に更に力を篭めた。










    「ピーニャ、」


    僅かに離れた先で、オルティガが掠れた声で囁いた。
    触れる息は熱く濡れていて、その湿度に胸の奥がぎゅうと締め付けられるようだった。


    指を絡めて重ねた手は汗で張り付くようで、このまま離れないのではないかと思う程ぴったりと合わさっている。



    ベッドヘッドに背を預け、凭れ掛かるオルティガの体重でシーツに体が沈む。



    「…あのさ、」


    いつも威勢よく飛び出す幼い声は、少しだけ低く、緊張と興奮を含んでいるように聞こえた。


    「オレ、が、したい」


    いつもよりも長く深いキスのせいか蒸気した頬でそう言ったオルティガに、ピーニャも早鐘を鳴らす心臓を誤魔化すように唇を噛み締めて小さく頷いた。



    「うん。……いいよ」



    これが正解なのか、本当は良く分からない。

    けれど、自分を見つめるオルティガの目が見たこともない程熱く、真剣に揺れているから。





    目を細めたその顔が、どこかいつもより大人びて見えて、息を呑む。





    「ピーニャ」



    再び降りてきた綺麗な顔に、熱っぽい瞼を閉じる。







    絡まる手に重みが加わり、真っ白なシーツに飲み込まれていった。









    終わり
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    nnjn999

    DOODLE勝手に始めた『こういう話が見たい』シリーズ。
    私が見たい感じの話を一部だけ切り取って書いていきます。CPもテイストも様々だと思います。

    今回は、だいぶ前にも何回か呟いたジニピの叔父×甥×怪奇ミステリ風の話。
    お察しの通り怪奇もミステリも書けないので本当に「見たい」という願望。
    こういう話が見たいシリーズ①(ジニピ) 吐く息も見えるような真冬の早朝。その学生は朝帰りの気だるい頭を俯かせて駅から家までの狭い道を歩いていた。通っている大学と同じ駅だが、反対側の出口を降りただけで途端に賑やかさは無くなる。学生向けの安い賃貸アパートが多いせいか、あまり治安が良いとも言い難い。
     とは言えもうそこに住んで二年目になる男子学生は慣れた足取りで先を急ぐ。アルコールの抜けてきた体にこの寒さはきつい。早く帰って少しでも眠りたい、とネックウォーマーに顔半分を埋め直した時、道の隅にそれを見つけた。
     ヒビの入った古いアスファルトの上に落ちていたのは、手袋だった。男女どちらともつかない大きさの、黒い革の手袋だ。
     特に珍しい光景ではない。こんな時期だし、場所柄酔っ払いも多い。落とし物などよくあることだ。しかし、男がそれを目に止めたのはある「違和感」からだった。
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