モヤモヤ書き溜め供養自分の感想として正直に言うと、一言で良いゲームだったと言えるかと思うと言い淀む。
自分が買ったことを後悔したりはしないし、他にない体験が出来たと思うけど、傷つく人も確実にいるな、と思う。
人を選ぶゲーム、というか見つけて興味を持った人間が自分で選んで手に取った方がいいゲームだと思う。
なので自分で誰かに勧めることは絶対にない。
UIについては見た目で想像していたよりもとっつきやすかった。
PC版の実況を少し見たけど、UIは完全版でかなりユーザーフレンドリーに改良されたっぽい。
個人的に中断セーブが実質インスタントデータ保存兼帰還機能として便利だった。
ファストトラベル機能がなかったり、現代のゲームと比較するとアナログな部分は多いが、イライラするほどではなかった。
マップがそこそこ広いため、仮にファストトラベルがあったら便利だとは思うが、このゲームの雰囲気を台無しにしてしまうとも感じる。
あの世界の意味としても、レールの上を走ることで白瓦斯や順応度を気にしつつ移動して探索することに意味があると思うし。
そう考えると中断セーブ&自室ワープは利便性のために世界観に譲歩して実装された機能なのではと思う。
ボリュームについて、1周目を比較的のんびりやったとはいえ、23時間かかった。
実況動画で12時間くらいかかっているのを事前に知っていたから片手間でやるつもりだったけど、色んな意味でカロリーが高すぎておやつにするには重すぎた。
カロリーの話だけど、文章も活字慣れしていない人はアレルギー反応で反射的にアプリ閉じそうだなと思った。
表現に関しても、一部にかなり心理学分野の専門的な語彙が多かった。キャラクターの背景的にそりゃあそうって感じではあるけど。
その表現、考え方を論じてくれるのは面白いのだが、自分自身捻くれているので魅力的なキャラクターに対して(こいつ相手に分かりやすい話し方を心がける気がないタイプの研究者だ…絶対児童カウンセリング出来ないぞ…)って思ってしまった。
ゆうて児童がこのゲームをするわけないが。
本筋の感想文。
1周目について、23時間かかったものの、これについては自分がとにかく備蓄しまくった上で万全の状態で臨みたいというプレイスタイルが原因な気がする。
身体改造ステージなしの状態で延々ゲドウを釣り続けていたし、もしかしたら使い道があるのかもしれないと思ってポスターを交換していなかったりした。
エリクサー症候群のゲーマーや、後からこれは必要なので集めてこいと言われる系で苦しんだゲーマーは同様になるのでは?と思う。
アイテムの収集要素やミニゲームの蛙釣りのレア集めなどがやり込み要素として自分のネチネチゲーマー気質に刺さってしまっている感じもあった。
どう足掻いても自分では1周に2桁以上の時間がかかってしまう気はする。
章ごとに話す内容が変わるからとりあえず全員に話してからじゃないと進みたくないし、全員に話した上でもう一回話してしまったりもするし、何度も冷却室に凸して冷却室ガチャに時間を費やしてしまったりした。
適当に手を抜くことも出来るが、適当に手を抜くには1周目の世界は謎まみれで、調べずにはいられないものだと思う。
あととにかく攻略を見ずに進めていたので、行き当たりばったりや改造部品が見つからなかったりという詰まり方も多かった。
工場でターサン達がシフトしてるのを運悪く回避し続けてしまって会えず、みたいなのとか。
あとは橋のギミックとか、詰まった時はもう素直に見ればよかったなって思った。
1周目は道代ルートだったけど、そこまで何度も行ってなかったから告白された時にあれ!?って思った。
あの時の気持ちは「普通に可愛いなと思っていたけど特に女の子として意識していたわけではなかった女の子に告白され、その時の様子が可愛かったし、本人も可愛い顔してるし、まあ…お試しで付き合ってもいいかな…」って軽い気持ちで絆されて付き合ってしまう童貞の気持ちだった。
ウリブールさんの女の子解説で「ああいうのをいじめたくなるタイプっていうんだろうな」みたいなことを言っていたので、同棲したら卑屈系の嫌なこと言って加虐性くすぐるみたいなのくるのかなと思っていたが、終始めちゃくちゃ可愛くていじめたくなる人間いるかよとなった。永久に大事にしたい。
でもこれもヤンの加虐性は生来のものだったって描写なのかも。子供の頃に仲良かった女の子にも加虐欲求持ってた的な。
あの時はめちゃくちゃギャルゲーやってる気分だったな…。
陰キャとしては道代の話すところの陰としての“ガチ”感と、人慣れしていないが故の純粋さがめちゃくちゃ可愛かった。
途中進め方がわからなくてひたすら道代とイチャイチャするのクッソ楽しかったし、ゲドウでも喜んでくれるからいい嫁すぎて愛だった。
ツルさんと仲良くなっているのも際限なく口角上がっちゃった。ツルさんめちゃくちゃ好きだったし、その時点だと宮さんが意識を取り戻したあとだからツルさんもウキウキの時だから会話の尊さストップ高。
推しと推しが仲良くなってるの助かりまくる。
引っ込み思案な道代が少しずつ自分を変えようとしたり、でも自分らしいところもちゃんと捨てずにいたり道代を好きになるのに十分すぎる描写がされるのもめちゃくちゃいいなとその時は思っていた。
ワンスイを釣ってなんでもない石を再生石にしてからの流れも話を進めるためになんとなく必要なんだろうなと思って、軽い気持ちで選んだ。
勧められない理由のうちの結構な割合がここからのしんどい展開。
この世界の仕組み上、白瓦斯屋3人娘のルートがバッドエンドというしかない地獄になるのはどうしようもないんだと思うが、1周目だと何も知らないからめちゃくちゃ絶望する。
分かるのはプレイヤーが間違ったんだってことくらいだし、めちゃくちゃ罪悪感がある。
あの世界からしたら「お前がそれを選んだ」ってことなんだと思う。
でもあれ、1周目だと察するには難しい。
これは個人的な意見でしかないから評価でもなんでもないけど、表現したいことを一番大事にした作品なんだなと感じた。
それは悪いことじゃないし、表現に大事なことだと思う。
でも、精神的に門戸が広いかというと…うーん…となってしまって、友達に勧めたり出来なかった1番の理由になってしまった。
ルート共通のところでの機械達との会話とかすごく良かったけども。ユーモラスだったりしんみりしたり寂しくなったり、あの世界のあの機械の喋る言葉じゃないと感じなかったものがあると思う。
そもそもこの懸念理由のルート分岐、効率重視でリズのところに通い続けてる人だとジュースルートに行って、のんびり勢はとか3人娘可愛いと思ってる勢は3人娘ルートに行く感じになるのでは?と思うんだけど、初手ルートの割合どんな感じなんだろう
。
最後に道代と会えたのが唯一の救いかとは思うけど…そこに至るまでの流れがマジでキツかった。
2周目ジュースルートに行ったけど、世界の仕組み的に他の3人娘ルートも世界が崩壊するのは確定だろうし、気が進まねえ…という気持ちになってしまう。
コンプ意欲より、真相を知った後だからより自分の意志で世界を壊して結局選んだ女も苦しめてしまうのがわかってるし。
真相のジュースルートで、この世界がヤンの精神世界だという確信が得られるんだけど
これある意味ルウルートとも言えるのかな。
なんというか…ヤンは治療のために入った世界ですら自傷するような生き方をしてたんだよなっていうのは分かる。
ただ、これもマジで個人の好き嫌いでしかないんだけど、加虐性を放出して暴れ回って他者を蹂躙しまくった事実でヤンに優しい気持ちを持てない。
大学で心理学勉強した上でも結論「でも他の人に精神物理問わず危害加えたらそれは罪でアウトやろ」というのが持論だからどうにもならん…。
マジレスおじさんになってしまうけど、彼女が本当に大事なら加害してくれという願いを聞くのでなく、一緒に精神科に行ってくれとなってしまう。
ただの人間に精神滅茶苦茶な人間を背負い続けられないし、いずれ潰れて精神やられた人間が増えるか、人生終わらせる人間が増えるかという話になる。
こういうモチーフに関して物語として消費することがあんまり好きではないんだよな…。
伝えたいことがそんなことじゃないと分かってはいる。もう好みの話でしかない。許す心の余裕が私にはなかった。
あの世界の主人公はプレイヤーじゃないからこそ、こう思うのも正しいんじゃなかろうか。
ゲームをプレイしていて、あの世界の機械達がめちゃくちゃ好きだった。
最初は特にこの世界の機械達が中身のある人間だと思っていたけど、多分この世界の機械達はヤンの存在以外に中の人がいるわけじゃないんだろうなと思う。
多分、ガラージュが記憶を読み込んで優しさを加味したからこそあの機械達が出来るんだとは思う。ジュースルートでモデルになった人間とリンクした時に今とだいぶイメージが違う人もいたし。
人々のデータからして、ヤンだけの知り合いだけではない気はする。
ヤンと、それに巻き込まれた医者側のアインとガタリの記憶を元データとして世界が作られたんだと思う。けど、いわゆるコントローラーを持っているのはヤンだけで、アインとガタリも記憶データだけ取られてその後目を覚ましていてガラージュにログインしてはいないのでは?と思う。
医師側のサンプルとしてNPCの参考データにされていそうという推測。
でないと医者としてそれ役割果たしてる?っていう疑問が残る状況、言動が多いと思う。
暴論だけど、ヤンの最初の暴挙あれで患者が治ると思うんだったら精神科医としての傍観が過ぎるだろ…と思ってしまう。
カウンセリングって話なら、患者が自分に向き合ってもらうためにある程度距離を置くものではあるけど、でもヤンがやったことって現実じゃない世界だからといって治療に必要だったかな?と思っちゃうんだよな…。
雌機械達やカゲの殺戮は、ヤンが自分自身と向き合って精神の傷を治すために必要な過程だったのか?と思う。
あれがなければ、本編のバッドエンドもあそこまで地獄めいてはいなかったはずだと思うし。
なんか永遠にヤンのことを許せないことばかり書いてしまうな…。
ゆうてあの世界の“人”を好きになった上であの破滅を見たらもうそんなん、許せない以外の感情ないでしょ…。
真相ルートの話から逸れてるんだけど、あの地獄みたいな中で誰かを害してまで生きたくないって消えていくハンさん好きすぎてちょっとラブだったな。
真相の話に戻って、ルウが雌雄同体の体で自給自足が出来る体だったのって、ヤンが彼女が特権を持った存在にしたかったんじゃないかなと思う。
もう1人の彼女であるジュース、そしてカゲのプシケが他の存在とは一線を画した力を持ってて、無法を働いて止められないようなヤンですら敵わないっていうのが証拠だと思う。
その心理って、彼女を殺したヤンがもう彼女を殺すようなことをしたくない、危害を加えたくない、でも自分は加虐欲求を抑えることが叶わない、それなら自分では傷つけられないほど強い存在でいてくれたのならいいってことなのかなと思う。
勿論、シンプルに彼女の存在が怖かったのかもしれないけど、この考え方の方がまだ救いがあるなっていう…。
それにしたってどの子も強過ぎる力で苦しんでたり暴走したりしてるのはガラージュが作る世界のセオリーと反した結果なのか、深層心理で苦しむ彼女の記憶が強いから彼女が苦しむ要素が生えてしまってるのか…。
本来1人で生きていけて、苦労しなかったはずのルウも、結局ありのままの自分を見てもらえないことに苦しんでたし。
あとあのメディチもジュースの言葉からして多分ヤンの薄暗い精神の一部っぽいんだよな。
そのメディチが動くことの出来なくなったルウを陵辱してるのマジで地獄だし、原作だとノイズの楽譜でメディチのことだけ殺せるのもなかなかに業が深い。
世間一般で言う“正しさ”と鑑みて、自分の加虐欲望が正しくないし疎まれるべきこと、憎まれるべきこと、殺されてもおかしくないことだってヤンは考えてたのが原作で殺せる多少だった理由なんだろうか。
真相ラストの話、なんとも言えね〜〜〜〜ってなっちゃったんだよな…。
彼女達の言葉って結局、ヤンの内心とガラージュが作り出してるんだよね。
仮に誰かのログインが本当はあったとしても、既に亡くなっている彼女のログインはあり得ない。
全部自分が欲しかった言葉であって、極論だけど本当に彼女の言葉かというと分からないとしか言えないんよな…。
ある種の死者の冒涜なんじゃないかとも感じる。
でも彼女の言葉でなければヤンの救いにはならなかったんだとも思うしなあ…。
救いのために亡き彼女の思考が陵辱されたようにも取れるし、あの彼女が本物の彼女のプシケ(魂)なのかもねとも思うし…でもあまり都合よく考えられないんだよなあ…。
だってこれ、機械が作った精神世界だし。
私が見たかったのはヤンよりも彼女の救いだったのかもしれない。
ヤンの客観的描写だけでもどうしたら救えるんだって感じだし、あの暴力依存症みたいな存在をどうにか救ってくれよと思う。
今書いてる自分の記憶もガバガバだけど、正直記憶に強く残る=印象深さの話だからこれが自分の感想で多分正しいんだろうと思う。
他にも印象深いポイントは結構あるし、ちゃんとおもろかったところはたくさんあるんだけどモヤモヤポイントもあったってことで…。