火照って汗でしっとりとした肌に頬を寄せる。未來のあたたかな温度が永久の温度と混ざって溶けた。永久は心地良さそうにうっとりと目を細める。
いつの間にか伸ばされていた未來の腕が永久を抱き寄せやさしく撫でた。
「みらいくん」
「ん、」
名前を呼んで抱きしめかえす、お互い居心地のいい場所を探すようにもぞもぞと動いて定位置を見つけるとゆっくり体の力を抜いた。
未來と恋人になって、こういう関係になってはや数ヶ月。
永久は未來のことがどんどん好きになっていった。
どん底から救いあげてくれただいすきなひと。はじめて全力で自分にむきあってくれたやさしいけど変な人。
あったかくて、やさしくて、この人になら全てを渡してしまいたいとさえ思える未來の腕の中にいると安心できた。
なんだか胸がいっぱいになって、未來の汗で張り付いた前髪をよけて額に口付ける。
未來はされるがまま、目を閉じて永久を受け入れる。
永久がそれがとても嬉しくってたまらなかった。
衝動のまま口付けの雨を降らせ続ける。おでこのまるさをなぞるように、余すところなく唇でなぞった。
さすがにむず痒くなったのか未來の手のひらがやわらかく永久の唇を防ぐ。
「んぅ」
「…おい」
「? なあに、みらいくん」
いつもの覇気はどこへやら、とろり、融けた目が永久を定める。
いつもはギラギラと輝いて雄弁に物を語る瞳が、夜の静寂に沈み、永久だけを写している。
口に出す勇気は到底ないけれど、願うことならばこれからも、未來がこうして慈しむ対象として瞳に写す人間が自分だけであればいいなと思わずにいられなかった。
「おまえな、」
「うん?」
未來の次の言葉を待つも、あ〜、だのう〜、だの唸るばかりで何一つ言葉を紡げない様子。
へとへとになるまで愛し合った時、未來はこうなる。
顔を赤くして、幼子よろしく少しだけ舌っ足らずになるのがかわいかった。
未來曰く擦って出すのと中を圧迫されて出すのでは使う神経が全然違う、らしい。
中を押し広げられて、揺すられて、緩んできた奥をそのままこじ開けられるとトぶようにイける。
あれはあれで好きだけれど神経ごと持っていかれて、頭が真っ白になってしばらく脳みそが使い物にならなくなるから次の日が休みじゃないなら手加減してほしい、と必死ながらもぽやぽやと甘くなった口調でお願いされた時の永久の様子は言うまでもない。
控えろ、ではなく手加減してほしい、と言うのが未來らしい、とも愛されてるなあ、とも思えた。
「うー、せぶみ」
「はあい、なに?」
結局考えても言葉は出てこなかったらしく、未來は何も喋らず永久の胸元に顔を埋めた。
今日の未來くんは甘えん坊さんだね、と永久が言うと反抗するように未來はぐりぐりと頭を擦り付ける。
「俺をこうしたのはおまえだろ…責任、とれ」
「うん。責任取って未來くんのそばに、います。」
未來が許してくれる限りはこうしてずっとそばにいたい。力強く答えた。
恥ずかしいやつ、と顔を赤くして目も合わせずにぽそぽそと呟いた未來の言葉を無視してぎゅうと抱きしめる、ぐえ、と潰れた蛙のような声が聞こえた気もするけどあえて聞かないふりをした。