確かにそう言ってたけど「主、まだかかりそう?」
「もうすぐ……もうすぐ決めるから……」
横でうんうん言いながら悩んでいる主は、きらきらと陳列されているくりすますのけーきを見ている。右へ行っては悩み、決まりかけたと思えば左に行って誘惑にあう。そんなことを、ここに来てから何回も繰り返しているのだ。
――もうすぐって言っても、まだもうちょっとかかるだろうな。
横でまた、あれもこれもと視線が動いている姿を見て、そう結論づける。
「ちょっと向こうの椅子で待ってるね」
「ごめん、村雲!すぐに向かうね」
申し訳無さそうに謝る主に、文句を言うつもりはない。けれど、少なからず期待していただけに、何処か遣る瀬無い気持ちになるのは仕方がないのかもしれない。
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