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    ino_tal

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    ザレイズメインシナリオ4部18章シナリオネタバレ注意です。カーツさんがグレイセスfキャラとお話しする小説です。CP要素はありません。

    詳しくは冒頭部分をご確認下さい。

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    ##カーツさん

    カーツさんの帰還ザレイズメインシナリオ4部18章シナリオネタバレ注意です。カーツさんがグレイセスf キャラとお話しする小説です。CP要素はありません。

    ※一人称ミスや妄想がありますが、ご了承ください。また取り急ぎ書いた部分もあり、会話文のみのパートや単語違いがあるかもです。申し訳ないです。

    ※リチャード、リトルクイーン、ラムダは出ていませんが加筆した際には書きたいなと思います。

    ※時系列がわからないので、原作でアスベル達と出会ってない設定です。







    カーツさんの帰還



    私は一体何をしていたんだ。

    何も思い出せない。

    目が覚めたら故郷とはまるで別世界に私はいた。周りの景色はどこか他国に似た雰囲気があり、自国ではないのだろうと思ったが、だとしてもまず空を見上げて異変に気づいた。40年程時々晴れた日にしか見れぬ青空を知っているからこそ、見知った景色があるのに別世界なこの異質などこかに恐怖を感じていた。

    そこからの記憶は曖昧で、何者かに私を“カーツ・ベッセル”と知られると襲撃を受けて、交戦したが背後をとられてしまい、そこから先の記憶は閉ざされている。

    それからかなり時間が経過している事は理解できる。見覚えのない怪我や体が異常に重たく感じるのは、意識を奪われている間リビングドールとして無理に活動し続けたからであろうと思う。



    次に目が覚めると、懐かしい顔が複雑そうな表情をしてこちらを見ていた。

    それがどういったものかなど、理解できないがなんとなくコイツは相変わらず変わっていないのがすぐに理解できた。そして、見知った顔を見てどこかホッとしてしまい思わず苦笑いを浮かんでしまう。すると、今度は泣きそうな顔をして謝り始めた。


    「すまない、カーツ……」


    マリクの謝罪に驚いていると、隣にいた青年が「カーツさん立てますか?」と赤い髪と両目色が異なる青年に手を差し伸ばされた。



    ◆◆◆◆◆



    赤い髪の青年ーアスベル達と面識がない事を彼らのアジトで話をするとアスベルは少し残念そうにしていたが、「でも、カーツさんが無事でよかったです」と無事を喜んでいた。

    そんな様子を、紫色の綺麗な髪色をした少女がドア越しから覗いているのが見えて「彼女も君の仲間かい?」と訊ねる。すると、アスベルはギョッとした表情をして「ソフィ!駄目じゃないか。教官のとこで待ってると話しただろう?」となぜか慌てていた。

    「私は構わないよ」と伝えると、アスベルが「でも…」と言いながらもう一度彼女を見つめ、紫色の綺麗な髪を二つ結びにした少女ーソフィに「おいで、ソフィ。カーツさんに挨拶をしよう」と語りかける。まるで兄と妹……というよりかは親子の様な接し方をしている様に感じた。


    「カーツさん、もう体大丈夫…?」


    恐る恐る少女が無表情ながら首を傾げてこちらを見つめるが、どこか不安そうにしていたので「見ての通りまだ本調子ではないが、だいぶ体調は落ち着いているよ。ありがとう」と素直に今の体調を伝えると、目を大きく開いた後、ぎゅっと目蓋を閉じて「よかったぁ……」と胸に手を重ねながら安堵した。

    その様子を見て私と彼らとの出会いで何があったのか。そう疑問を抱きながら、気づいたのはこの後の訪問者で知る事となる。



    ◆◆◆◆◆



    ヒューバート・オズウェル。苗字、髪の色は違うがアスベルの実弟。

    彼もマリクと共に旅をした仲間として私の故郷・フェンデルに来たことがあったらしい。
    そこであった事を年長者のマリクではなく、彼が懇切丁寧に説明をしてくれた。

    彼の説明は、この世界の事を説明された時より、「やはりそうか」と思ってしまうほど受け入れやすく納得した。

    ここが元の世界とは別世界で、解放されるまで私はエネフィア領の領主で、背中には紋章をつけられつい最近まで操られていた挙句に、炎に包まれていただとかいたとか……。

    そんな夢だったら覚めたいと願った話よりも、元の世界で私はマリク、そしてアスベル達と出会い、私は後に自分の国の為に命を落としたという。


    「…知らなかったという事は、カーツさんは僕たちと……教官と再会する前の軸で具現化された事になります。実際、そういった人もこの世界には大勢います」


    「なるほど。だから、マリクはあれから見舞いにも来れずにいるという事か。よく理解できたよ」

    相変わらずの男だ、と鼻で笑う。元の世界で死んでいた人間がこの世界では生きていたなんて複雑な気持ちなのだろう。



    「いえ、だからその…」

    斜め下を見つめながら言いにくそうにしていたので「まだ何かあるのかい?」と尋ねると気まずそうにしながら「僕が言ったとは言わないで欲しいのですが……」と目を伏しながら語り始める。




    ◆◆◆◆◆


    「カーツさんお久しぶり〜!あたしパスカル!ほら、アンマルチア族の……」

    「あ……あぁ、君に似ている人を私は知っているよ。名前は確か……」

    「あ!そっか。私と面識がなくてもお姉ちゃんのことは知っているんだよね!お姉ちゃん元気にしているかな〜。まだこの世界ではお姉ちゃんと会えていないんだよね〜」


    姉・フーリエとは何度か会話をした事があるので、真逆と言っていいほど明るい妹のテンションに思わずたじろいでしまう。


    「君のお姉さんには色々助けてもらっていた。アンマルチア族の技術は本当に素晴らしい。この世界でもその知識を使っていると聞いたが…」

    「そーなんだよ〜!やらなきゃいけない仕事がなかった時はメカアスベルの精度を高めたりしているんだけど、中々進まないんだよね〜。あ!メカアスベルというのはね……」



    “僕たちの仲間に、アンマルチア族の女性がいるんです。名前はパスカル。フーリエさんの妹さんです。カーツさんが命をかけてかばった女性が彼女なんです。普段は明るくて人懐っこい人なんですけど、多分どこか気にしているかもしれません。だから…”


    「パスカル、さん。だったかな」

    「え?なになに?どうかした、カーツさん」

    「私の事を心配してくれて嬉しいが、君自身のことも大事にして欲しい。もし、やるべき事があるのならそちらを優先してくれて私は構わない」

    キョトンとした表情をした後、後ろ髪を掻きながら「え〜?何のこと〜?」ととぼけたが、先程までマシンガントークは止まり、下を俯いて上がらない。

    「今度、みんなで食事をしながら話の続きを聞かせてくれないか」

    「……うん。約束ね、カーツさん」

    と少し潤んだ瞳を腕で拭って笑顔を見せてくれた。その笑顔が少し、彼女、フーリエを思い出させた。



    ◆◆◆◆◆



    「だいぶ落ち着いてきましたね。私の治癒術使わなくてももう大丈夫みたいです」

    ピンクの鮮やかな髪を揺らしながら笑みを浮かぶ少女ーシェリアは、アジトに連れてこられた際に救護班として私を看病してくれた。知り合いなのもあったから、余計に彼女は私に付きっきりで毎晩治癒術を施し看病してきてくれた。

    大分体の痛み、重みなどは解消され、後はアイツと話をつけるだけだな、と結局何日経過してもマリクはこの部屋に来る事はなかった。ー全く、臆病な奴め。


    「マリクは相変わらずか?」

    「えぇ。あれから頑なにカーツさんの部屋に入りたくないみたいで……。すみません、病人に素直に話すべきではないかもしれませんけど」

    「…いや、構わない。アイツなりに考えているんだろう。あぁ、こんな時間か。シェリアさんももう遅いから部屋に戻って休んでくれ。私もそろそろ休ませてもらおう」

    「わかりました。じゃあ消灯しますね。何かあったらこの魔鏡通信で言ってください。救護班の誰かが駆けつけますから。じゃ、おやすみなさいー」

    パチっと部屋の灯りを消してゆっくり扉を閉める。

    真っ暗になった部屋の中で静かに眠りについた。


    ◆◆◆◆◆


    夢を見た。

    あれは、まだ私とマリク、そしてロベリアがいた頃だ。

    その日はいつもの居酒屋で私とマリクが「どちらが酒が強いのか」という若者らしく馬鹿げた対決をして、大分酒が回ってきた頃にロベリアが現れてその惨状を見てため息を吐きながら俺達を叱責した。

    戦争とか苦しかった時の記憶ではなく、ただ彼らと楽しく過ごした貴重な時間を思い出しながら少し早い朝を迎える。


    ベッドから降りてみると、ずっと横になっていたので歩くバランスがうまく取れずよろけてしまった。それでも、誰かに導かれたかのようにゆっくり、ゆっくりと部屋から出てある場所を目指す。

    何となく、直感だがーアイツがいるような気がした。

    灯りが見えて扉の向こうからは話声は聞こえてこなかったが、誰かがいる気配は感じていた。ゆっくり、その扉を開くとその眩しさに少し目が眩んだが、やはりアイツはいた。




    ◆◆◆◆◆



    「……こんな朝まで呑んでいたのか?マリク」


    「……カーツ……」


    少し驚いた顔をした後、すぐに表情を曇らせる。
    どうやら、他の仲間とのんでいた様だが、その他の仲間は夢の中にいるようで寝息を立てていた。

    「隣、座るぞ」

    「……」

    返事はない。だが、拒む様子もないのでマリクの隣に腰をかける。
    するとマリクが空いたグラスを取り出し、数量の酒を注ぎ目の前に差し出される。

    「ーこれは、ウォッカか?随分強くなったもんだな」

    「……昔の事だろ」

    「貸せ。お前のグラスに入れる」

    コポポ……。自分と同じくらいの量を注いだのを渡し、差し出すとビクッと体がはねた。

    「…なんだ。私が怖くなったのか、マリク」

    「……いや、そうじゃない」

    そう言いながらグラスを持つその手は少し震えていた。隣に座って会話もしているのに、目が合ったのはこの部屋に入った時だけ。

    「余計な事を、考えているな」

    「……考えるさ。お前、死んでるんだぞ」

    「でも、今は生きている」

    「それは……」

    「マリク。私ー俺は、こう見えてもお前とこうやってもう一度こうやって酒を交わす事ができて嬉しいんだ。お前だって、同じ気持ちじゃないのか?」

    「嬉しいさ!!でも、俺は……あの時、お前を助けられなかった事を……俺は……」

    「人はいずれか死ぬもんだぞ、マリク。お前だってよく理解しているはずだ。ロベリアだってそうだろう?彼女がこの世界にいるかはわからないが、それでも元の世界では彼女は死んだ事実は変わらない。ーそれでも、こうやって会えたのなら馬鹿げた話をしながら酒を交わすのも悪くないとは思わないか?」


    「……そう、だな。あぁ、そうだ……」


    「お前が泣くところなんて何十年ぶりに見たかな。いいもの見せてもらった事だ。改めて乾杯しよう」

    「ハッ……カーツ 、お前こそ泣きながら言っても全然かっこつかないぞ。本当…」


    「「変わらないな、お前は……」」


    言葉が重なって、カチンとグラスがぶつかる音を立て、互いに注いだ祝酒を口に運んだ。


    祝福される日があったっていい。
    これから先、また贄の印が発動して、命の危機がまた起きるかも油断できない。
    それでも、今はこの奇跡の様な再会を友と喜び合おう。

    願わくば、もう二度と悲しい思いをしないで済む様に。


    一緒にこの世界で仲間達と生きていこうー。


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