ぬくもりすっかり冷え込みだしたこの季節、朝晩の寒さがとても厳しい。そんな今日も、スターレスでの業務を終えて、強い風に当たりながら暖かい我が家に足を進める。
息を吐くたびに白い煙が濃紺の空を舞い、手先は寒さからか赤く色づいている。程なくして恋人が暇をしているであろう家についた、暖かな風呂に入ってアイツの作った飯を食べて1日を終わらそう。今日は少しつかれたから。
「ただいま」
少ししてから眠そうな返事が帰ってきた。
「…おかえり、遅かったな」
「クローズ作業に少し時間がかかったから、今日はカレー?」
「よくわかったな、先風呂入ってこい寒かったろ?」
「寒かったね、そうさせてもらう」
暖かい湯船に浸かり今日の疲れを癒やす、明日も踊るために今日の疲れは今日のうちにやっつけておくことが大切だろう。と私は勝手に思っているけど、踊れたらなんでもいい。
全身が温まり、黒曜温め直してくれたカレーを食べながら恋人と他愛も無い話に花を咲かせる。
話が一段落したので寝る支度を済ませて寝ようと思ったのだが、風呂で温まったはずの体温は元通りとは言わずとも、冷めてしまい寒くて一人で寝るには厳しい。そうだ、温かい黒曜を湯たんぽ代わりに寝たらいいじゃないか。
「ねぇ、黒曜。寒い一緒に寝るぞ」
「急にどうした甘えたさんか?モクレン」
「別に、寒いからお前を湯たんぽ代わりにしようと思っただけだよ」
「そうかよ、仕方ねぇな」
黒曜の優しい暖かさに包まれて眠りにつく。
「苦しくねぇか?」
私が寒くないように抱きしめてくれている黒曜が息苦しくないか心配をしてくれる、腕枕で黒曜の胸に顔を埋め、足を絡めて布団に潜る。暖かさと恋人の安心感がさらに眠気を引き出してくれる。今日はいつもより深い眠りにつけそうだ。おやすみ。
「おやすみ、モクレン」
おでこに愛しさを感じたところで意識が途切れた。