続々·大田黒の憂鬱俺は辻峰高校弓道部2年大田黒賢有だ。
今俺はとても気まずい場面に出くわしていた。
(また不破が女子から告白されている‥今週に入って何度目だ)
12月に入ってからの不破のモテぶりは異常だ。おそらくはクリスマスまでに彼氏が欲しいと考えてのことだろう、女子達の気迫を感じる。
(まぁ不破は断るんだろうがな)
これは確信に近い予想だ。
「悪い、今は部活に専念したいから付き合えない。ごめんな」
(やっぱりな)
予想通り不破は断わっていた。
(不破を落とせるとしたらアイツしか思い浮かばないな)
そんなことを思いながら前方に目を向けると今頭の中に浮かべていた人物がそこにいた。
(二階堂‥)
二階堂は俺の存在には気がついておらず、不破の背中をジッと見つめていた。
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