最悪な出会い♡編 ブイブイブイブイブイブイと、いっそノイローゼになりそうな賑やかな声が、だだっ広い牧場のそこここから聞こえてくる。
ふかふかな芝生の緑の上を、三十センチほどの茶色い毛玉たちが、短い四つ足で懸命に走りまわり、飛び跳ね、戯れている。
長い耳に大きな尻尾。もふもふしたクリーム色の襟巻き。ネコのようなイヌのような、あるいはキツネのようでもある、不思議な生物。
イーブイだ。
三、四十匹ものイーブイたちに囲まれているこの光景に、女の子たちはきっと「可愛い~!」と口を揃え目を輝かせるのだろう。
が、僕の顔は思いっ切り歪んでいる自覚がある。生き物は大の苦手だ。
じゃれ合いながら二匹の毛玉が足元を通り過ぎていったのを見下ろして、僕はため息を吐いた。
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