お疲れ、カツカレー私はこの春から一人暮らしを始めた。
新しい職場にあわせて引越してからはや数ヶ月、必死に毎日を生き抜いていた。嫌いな上司やめんどくさい客、度々起きるトラブルに猛烈な疲れを感じはじめていた。
「はあ……つかれるなあ」
そんな仕事が終わったからといって、すぐに一息つくことはできない。家に帰っても自分で家事をこなさないといけないこの生活は、実家を出るまでTRPG三昧で生活力皆無だった私にとって厳しいものであった。
「誰かに、癒されたいなあ」
ポツリとそうこぼしながら、クタクタになった体を無理くり動かして帰路に着く。重たい足取りで錆びた階段を登り、自宅の前へと辿り着いた。
───────何だか、いい匂いがする。
周囲の部屋かと見回しても、電気がついてる様子はない。ああ、彼らも残業だろうか……と心の中で見ず知らずの近隣住民を労わった。
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